天人五衰——啞ン癡anti王瑠我貮翠梦organism。小説12


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



かクに聞きゝかくテ迦夜加め覺メたれバメ醒めたる雙ツの眼球がなシたる一つの眼差しの至近に魚鱗ノ尾斗女たダやさシくに笑みたりキかくテ遠斗米爾にひトり香夜香を見たりキ魚鱗なス右眼ノ目に且つは魚鱗なス左目の眼に果夜迦ヲ見たリて笑みたリきかくて限りもなくに慈愛の眼差シに故レ迦夜迦は見たリき限りモなクにそノ慈愛の眼差しをかくテ迦夜迦問ひけらクあなたはだれ?と

救おう

魚鱗尾登女たダやさしくに笑ミて故レ加夜加問ひけらくあなたは一体…

ぼくは、きみたちを

魚鱗遠斗女タだやさしくに笑みテ故レ加夜加問ひけらくあなたは、だれなの?

救おう、きみたちのすべて

魚鱗越登女たゞやさシくに笑みて故レ加夜加問ひけらく…ね?

イノチなす

かクて加夜加が耳に聞こエたる

イノチのすべてを

さゞ浪ノ音は

あなたを救おう

とトむ波の音は

ぼくは救おう

故レ迦夜迦その耳に聞きゝかくの如くに耳に顯らカに聞きゝ厥レ迦美加愚耶比古ノ美古屠九尾の大龍を封ジ込めたリき九尾ノ大龍有ト無とイノチなし越呂智なスそノ九尾それぞレに名ありて一を贔屓即ち比伎能越呂智ト曰ふ又一を螭吻即ち癡布能越呂智と曰フ又一ヲ蒲牢即ち保漏宇能越呂智ト曰フ又一を狴犴即ち敝威加能越呂智と曰フ又一を饕餮即チ斗宇氐都能越呂智と曰ふ又一ヲ覇下即チ破伽能越呂智ト曰ふ又一を睚眦即ち我爲娑伊能越呂智と曰フ又一ヲ狻猊即ち娑牟猊圍能越呂智ト曰フ又一を椒圖即チ志夜宇豆能越呂智と曰フこれ等大龍の九ノ尾なす越呂智ら大龍もろともにスでに封ジ込めラれたりき故レ空ハ乾きゝ故レ地は渇きゝ故レ息てアる物のことごトくは乾きゝ息キてなき物のことごトくだにも乾きゝ故レ伽耶香は乾きゝ伽虞眞も乾きゝ今地表のすべテは死なンとす今空飛ぶすべても死なムとす今加夜迦はまサに死なンとス今伽虞眞はまサに死なムとす故レ加愚耶比古を殺せと加夜迦ハ聞きゝ故レ加愚耶比古を弑せと加夜加ハ聞きゝ故レ加愚耶比古を煞セと加夜加は聞きゝ故レ迦夜果まバたく間にも魚鱗尾斗女ハ笑みつヅけたりき故レ魚鱗なすそノ鱗の柔毛の無數は綺羅ラかに搖ラめきゝ故レ柔毛の無數は由羅ラかに搖らメきゝ故レ迦夜哿ひトり娑娑彌氣囉玖

 まさか

  降れ

 滅びるものの

  霑わせよ

 傾く水の

  水浸しにして

 洪水のながれを?

  潤わせよ

 まさか

  わたしはまさに淚した

 消え去る命の

  死にゆくの薰馬の衰えに

 當然のその

  涕した

 土砂崩れの無慚を?

  死にゆく薰馬の焦燥に

 降る雨は

  涕した

 わたしの眼には

  死にゆく薰馬のその苦痛

 地から空へと駈け登る

  涕せよ

 降る雨は

  わたしの淚も

 わたしの眼には

  涕せよ

 紫陽花の花から空へと駆け上る

  彼を霑わせよ

かくて迦夜香

  彼の喉を

爾に

  ただ彼をだけ

都儛耶氣良玖

 迷い。

 なかった。

 迷いなど。

 すでに。

 慥かに。

 こゝろには。

 なかった。

 滅びることへの迷いなど。

 まして同情。

 滅びる人ゝへのあわれみなど。

 もはやすでに。

 とっくに終わった生き物たち。

 その最後の一時期。

 それでも慥かに救われなければならなかった。

 猶も。

 薰馬は今死に懸けていた。

 薰馬は今干からびかけていた。

 かたわらに。

 だからそれでも猶も救われなければならなかった。

 慥かに。

 今まさに。

 かたわらに。

 聲さえもなく。

 たてるべき悲鳴さえ。

 かすれ聲さえも。

 まして絶叫。

 苦痛の?

 恐怖の?

 纔かの聲さえもなく。

 枯れた。

 泣き叫ぶ。

 渇き切ったその彼の衰弱。

 聲さえもなく。

 喚く。

 かれはもうすぐ死ぬに違いない。

 だからそれでも猶も救われなければならなかった。

 慥かに。

 笑った。

 聲も無く。

 わたしも。

 だから見つめていた。

 そのほゝ笑む顏を。

 魚の鱗の少女。

 干からびる。

 かたわらに薰馬は。

 餓え衰える。

 かたわらに薰馬は。

 ひとり滅びる。

 その固有の滅び。

 死の絶望的な孤立。

 笑む。

 だからわたしは笑んでいた。

 聲もなく。

 たてるべき悲鳴さえなく。

 聲さえもなく。

 絶叫。

 苦痛の?

 恐怖の?

 聲さえも無く。

 泣き叫ぶ。

 ただひたすらな傷みの。

 憎しみ。

 怨み。

 目に移るものすべてへの怒り。

 聲さえもなく。

 笑んだ。

 わたしは。

 魚鱗の少女に。

 その。

 慈愛の眼に?

 その。

 慥かな彼女の微笑に。







Seno-Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Seno-Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキス、北一輝、など。 三島由紀夫もちょっと好き。そんな感じ。

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