天人五衰——啞ン癡anti王瑠我貮翠梦organism。小説9
以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
かクに聞きゝ宇陁賀波ノ可耶伽かくに知りキ故レ伽久邇伎伎伎加夜迦ひとり街路を步キて故レ街路光の洪水をなシたりき故レ街路に人人群れなシたりき故レ人々群れテ息遣ひき故レ伽耶迦見き人人を且つハ迦夜蚊嗅ぎキそノ匂ヒを且ツは加夜迦感ジたりき人人の息吸へるを又感ジタリきその息吐くを故レ加夜迦步キながら爾に幾度も刹那世都那に須臾ノ失神を繰り返しき所以者何知ラず葢シ街路光の洪水なシたる故にか且つハ又街路に人人群れなしたりける故にかカくテ人人未だに鼻孔或は口蓋の上にマスクつケたりき且つはマスクが上にガスマスクつケたりき且つハ雙ツの摩那古が上にゴーグルつけタりき且つは片手に鐵杖を持チ步きゝ且つはバッグが内に又は利キ腕が先に携帯用ガソリンの500ccボトルを下ゲタリき所以者何是レ已に變態遂げたる自由型萬能細胞すでに街に溢レて在りたル故なりき樹木に乃至そノ葉に乃至そノ花弁に乃至足もトなる草に乃至その花弁に乃至ソれらノ翳りに乃至無機物乃至土のうちにも潜みそノほぼ不滅のイノチを保持シたりて故レ散乱したりテ故れ分裂シたりて故レ繁殖したりて故レ喰らヒたるが故なりき已にシて世は比登ノ世にあラず已にシて世は比登の生息領野ならず已にしテ國土は比登の玖爾の國土ならず比登より出でて比斗を弃てたル迦哩型萬能細胞が充滿せル領野なりき故レ比斗ら怯えき故レ比登ら慄きゝ故レ比登ら怖れき故レ唯そノ破滅或は殲滅の傾きを轉ブ比登らその迦哩型萬能細胞を名付ケて曰く進化形生命即ちアたラしきイノチと加夜迦一秒にも滿たヌ失神に墮ち續け又メ覺めメ醒めつヅけてハ失神に落チ續けたりき故レ躬ヅからが足にふらラと阿理久步ミの間に間にモ娑娑彌氣囉玖
なんという
知ってるよ
どうしようもないほどに
もう
大きな
知ってるよ
絶望的なほどに
もうすでに
大きすぎる
ぼくらはみんな
かがやきだっただろう
知っていたよ
見上げれば靑
もう
ただひたすらに
ぼくらはすでにみんな
なにをも終に憐れまなかった
狂氣した。ぼくらはみんな
なにをも終に歎かなかった
狂氣した。ぼくらはみんな
なにをも終に思いやりさえしなかった
狂氣した。ぼくらはみんな
厥れ
狂氣した。ぼくらはみんな
なんという靑の
かくて迦夜香
狂氣した。ぼくらはみんな
爾に都儛耶氣良玖
ありはしなかった。
なにも。
たしかに。
すでに。
生き殘るすべは。
たとえかりに本當だったとしても。
その醫師の云ったように。
伽哩ヴィルスの無毒化。
それが間違いのない事實だったとしても。
死滅していたのだった。
わたしたちは已に。
生きながら。
死滅していた。
わたしたちは已に
殲滅。
人々はすでに。
わたしたちの殲滅。
なぜ?
わたしたちはことごとくに
なぜ?
已に殲滅。
なぜ?…と、
滅びていた。
だから思った。
なぜわたしたちはそれでもなおも正氣で生きているフリをするのか?
この期に及んで。
なぜ?
それでもなおもわたしたちはまともに生きているフリをするのか?
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
笑う。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
わたしたちの生きる肉體。
わたしたちを生きる肉躰。
ささやく。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
聲ひそめて。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
わざとたてた背後の大聲。
不意の。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
早口のなにか焦燥の小聲。
ふたりの男聲。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
降りつけられた香水のかおり。
女の肌に?
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
ぬりこめられたファンデーション。
だれもいない不在の空氣に殘って匂う。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
滅びていた。
わたしたちはみんな。
滅び畢っていた。
すでにして死んだ滅びの腐った肉。
わたしはもう。
生きてさえも。
死んでさえも。
魂はすでに。
或は生をも死をも乘り越えていた。
皮肉な超克。
人と人人の最後の到達。
その榮光。
かクに聞きゝ宇陁賀波ノ可耶伽かくに知りキ故レ伽久邇伎伎伎爾に布良良布良らとふラつきナがラに加夜伽部屋に歸り着かムとす厥レ道玄坂を上りタる先の髙層マンションが十二階なりき是レ嘗て加愚囉ノ加愚摩ト俱なりテ住ミき故レマンションに歸りツく前の道玄坂中腹にありテ加夜伽路上に吐きゝ胃液吐きゝえヅきゝかくテ人々哿夜伽を汚物じミて避く所以者何蚊夜哿マさに汚物に他ならざルが故なりきノみナり故レ哿耶伽が耳は聞きゝ人人らが比登の喉に立テたる非難し警戒する比登の言葉の小聲ヲ聞きゝ汚物なる加夜哿口に汚物吐きタる所以者何そこ加愚摩が變態ノ嘗ての現場なるが故なリき加久弖マンションに歸りつキてエレベーター前にありて加夜加ふたタびに吐きゝ胃液吐きゝえづキゝそシて管理人ひとりかケよりかけて立チ止まりたルに比登の言葉に叫きゝ厥レ短く人の言葉を比登の喉に叫きゝかクて加夜哿を汚物ジみて避く所以者何加夜哿まサに汚物に他ならザるが故なりき汚物なる哿夜哿口に汚物吐きたル所以者何そこ加愚摩が變態遂げる前に最後に哿夜迦に笑ひかケたる現場なルが故なりき加夜迦思ヒ出だしたりて吐きゝ所以者何伽耶加に記憶アりけるが故なりき抑迦俱麻が笑ヒかけたる所以者何迦夜蚊すでに知ラず已にシて加夜迦忘れたりけるが故なりき加夜迦しかスがに覺えてありき所以者何伽耶加に記憶アりけルが故なりき厥レ——ね
と故レ加夜迦爾にヒとり娑娑彌氣囉玖
わらいかけて
わすれてないよ
…ね?
おぼえているよ
と
おぼえているよ
あなたがささやいた聲を
この記憶が
そしてようやく
實は
本當に笑んで
狂氣のわたしのついた嘘でさえなければ
その日の
わすれてないよ
返り見た顏に
おぼえているよ
正面からあたった
おそらくきっと
わたしの背後の朝の日のひかり
今
かくに聞きゝ
狂氣しないのは花だけだから
宇陁賀波ノ迦耶伽かく知りキ
狂氣する心のない花
故レ
たとえばあなたが好きだった
伽久邇伎伎伎加耶伽部屋のドアひラきたルに
極樂鳥花の
その須臾
花だけだから
いきなりに空氣はふレたりき數週間閉ざサれてありタる部屋の厥レすでに他人ごとジみて沈滞せり故レ陰鬱なる臭ミ鼻にふレり鼻臭ミを感じてただ臭ミを嗅ぎき引き開けたる儘のカーテン無防備に光を床に斜めに打チたりきものノことごトく日に褪せタり又薄ら翳だに斜めに打チたりき光り翳りト俱なりて迦猊呂比伎故レ爾に迦夜哿ひトり他人の部屋ナす臭気ノ部屋に嘔吐せりかクて吐く胃液たダ床に落ちき故レ床に撥ネき故レ床に散りき故れ哿夜蚊が素足胃液を蹈む故レ加夜蚊爾に娑娑彌氣囉玖
なつかしい?
なつかしくなよ
なんで?
あんたは?
おれ?
なつかしいの?
おれは
なつかしい?
でもさ
なに?
なんでなつかしいの?
だってさ
なに?
ひみつ
いえよ
めいれいされるおぼえないけど
わすれてなかったから?
かクて迦夜香
ずっと
爾に
おれのことだけかんがえてたから?
都儛耶氣良玖
そのあとで。
——もう大丈夫?
その唇が
——帰ってたの?
さいごの嘔吐の胃液の味を
——待ってた。俺…
唾液ごと
——大丈夫だよ。もう、わたしは
吐き捨てたあとで。
——ほんとに?
糸を引く
——嘘つく意味なくない?…待った?
その色の有る糸の透明が
——顏色わるくない?
綺羅らぎなら
——だってさ…
千切れたあとで。
——べつに、嘘ついてるとは思わないけど
だからわたしは見ていた。
——待った?
見上げた顏は。
——無理してるかもしれないって、…俺?
すでにもう。
——待った?
やわらかく
——大丈夫だよ
そっと開いた
——なんか、疲れてるよ
まなざし。
——そっちこそ
そのほゝ笑み。
——わたしは、…さ
よく知るその顏。
——本当はやばいんじゃない?…だいじょうぶ?
わたしは見ていた。
——だってさ
薰馬が笑んだ
——病院?
その顏を。
——あれ、さ。結構
わたしは見ていた。
——ひどい?
だからさゝやき合う。
——いや、仕方ないと思う。ほんと、でも
だから
——ひどい?
わたしと薰馬は
——ひどくはないけど
たゞさゝやき合う。
——でも、やばいんでしょ?
はばかることなく。
——それはさ、だって
誰の目も。
——でも、よかった
氣にすることなく。
——なんで?
その聲を。
——お前が…雅樂川がさ
わたしと薰馬は
——ん?
ささやきあって
——帰ってきて。…俺
かクに聞きゝ宇陁賀波ノ可耶伽かクに知りキ故レ
——心配してた。實は
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