金剛般若波羅蜜經 (鳩摩羅什)——ダイヤモンドに如く智慧、…彼方なる叡智を說くスートラ。原文、書き下し文。4
漢文原文は據大正大藏インターネット版
書き下し文及訓は據國譯大藏經經部第三卷國民文庫刊行會發行
奧書云、
大正七年四月廿八日印刷同月三十日發行
大正八年一月廿八日再版發行
昭和二年五月廿五日三版發行
昭和十年十二月廿八日四版發行
譯者山上曹源識の署名あり。
但し一部の文章を改めた。訓は底本儘。
〇18
一體同觀分第十八
「須菩提
於意云何如來有肉眼不
「如是世尊
如來有肉眼
「須菩提
於意云何如來有天眼不
「如是世尊
如來有天眼
「須菩提
於意云何如來有慧眼不
「如是世尊
如來有慧眼
「須菩提
於意云何如來有法眼不
「如是世尊
如來有法眼
「須菩提
於意云何如來有佛眼不
「如是世尊
如來有佛眼
「須菩提
於意云何如恒河中所有沙
佛說是沙不
「如是世尊
如來說是沙
「須菩提
於意云何如一恒河中所有沙
有如是沙等恒河
是諸恒河所有沙數
佛世界如是寧爲多不
「甚多世尊
佛告須菩提
「爾所國土中所有修生
若干種心如來悉知
何以故
如來說諸心皆爲非心是名爲心
所以者何
須菩提
過去心不可得
現在心不可得
未來心不可得
一體〔いつたい〕同觀〔どうくわん〕分第十八
「須菩提。
意に如何ん。
如來、肉眼〔にくげん〕ありや。
「かくなり。世尊。
如來、肉眼あり。
「須菩提。
意に如何ん。
如來、天眼ありや。
「かくなり。世尊。
如來、天眼あり。
「須菩提。
意に如何ん。
如來、慧眼ありや。
「かくなり。世尊。
如來、慧眼あり。
「須菩提。
意に如何。
如來、法眼ありや。
「かくなり。世尊。
如來、法眼あり。
「須菩提。
意に如何ん。
如來、佛眼ありや。
「かくなり。世尊。
如來、佛眼あり。
「須菩提。
意に如何ん。
恒河が中にあらゆる沙の如く、佛が說けるは此の沙なりや。
「かくなり。世尊。
如來、說けるは此の沙なり。
「須菩提。
意に如何ん。
一つの恒河が中にあらゆる沙、かかる沙に等しく恒河あり、此の諸の恒河にあらゆる沙らの數、佛が世界はかくの如くてむしろ多しとすや。
「はなはだ多し。世尊。
佛告げて須菩提に言さく
「その國土が中にあらゆる衆生、若干の種の心を如來はことごとに知れり。
何の故に。
如來は說きゝ、もろもろの心みな心にあらずとす。
此れを心となすと名づく。
ゆゑんは如何ん。
須菩提。
過ぎ去りし心、此れ得られず。
現在す心、此れ得られず。
未だ來たらざる心、此れ得られず。
〇19
法界通化分第十九
「須菩提
於意云何
若有人滿三千大千世界七寶以用布施
是人以是因緣得福多不
「如是世尊
此人以是因緣得福甚多
「須菩提
若福德有實如來不說得福德多
以福德無故如來說得福德多
法界〔ほつかい〕通化〔つうげ〕分第十九
「須菩提。
意に如何。
あるひは人ありて三千大千世界に滿てる七寶もて布施せり。
此の人、此の因緣にて得たる福多きや。
「かくなり。世尊。
此の人、此の因緣にて得たる福はなはだ多し。
「須菩提。
もし福德、實にあらば如來は說かじ、得たる福德多しとは。
福德の無きが故に如來は說きゝ、得たる福德多しと。
〇20
離色離相分第二十
「須菩提
於意云何
佛可以具足色身見不
「不也世尊
如來不應以具足色身見
何以故
如來說
具足色身即非具足色身
是名具足色身
「須菩提
於意云何
如來可以具足諸相見不
「不也世尊
如來不應以具足諸相見
何以故
如來說
諸相具足即非具足
是名諸相具足
離色〔りしき〕離相〔りさう〕分第二十
「須菩提。
意に如何ん。
佛、具足す色身〔しきしん〕もて見べきや。
「否なり。世尊。
如來まさに具足す色身もて見べからず。
何の故に。
如來は說きゝ。
具足す色身、即ち具足す色身ならず。
此れ具足す色身と名づく、と。
「須菩提。
意に如何ん。
如來、具足す諸の相もて見べきや
「否なり。世尊。
如來まさに具足す諸の相もて見べからず。
何の故に。
如來は說きゝ。
諸の相は具足し、即ち具足さるにあらず。
此れ諸相は具足すと名づく。
〇21
非說所說分第二十一
「須菩提
汝勿謂如來作是念
我當有所說法
莫作是念
何以故
若人言
如來有所說法即爲謗佛
不能解我所說故
須菩提
說法者無法可說
是名說法
爾時慧命須菩提白佛言
世尊
頗有衆生於未來世聞說是法生信心不
佛言
「須菩提
彼非衆生非不衆生
何以故
須菩提
衆生衆生者如來說非衆生是名衆生
非說〔ひせつ〕所說〔しよせつ〕分第二十一
「須菩提。
汝、謂〔おも[思]〕ふ勿れ、——如來はかくに思ひき、我まさに說ける法あるべし、と。
かかる念〔おも〕ひなす勿れ。
何の故に。
もし人ありて言さく、如來に說ける法あり、と。
此れ即ち佛を謗しり、我が說けるを解さざるが故に。
須菩提。
說ける法、此れ法と說くべきにあらず。此れ法を說くと名づく。
その時に慧命〔えみやう[尊稱]〕須菩提、白して佛に言さく
「世尊。頗〔かたよ〕れる衆生ありて未來世に此の法說くを聞き、信心生ぜんや。
佛言さく
「須菩提。
かれ衆生にあらず。
衆生ならざるにあらず。
何の故に。
須菩提。
衆生なる衆生、…如來は說かん、かれ衆生にあらず。
此れ衆生と名づく。
〇22
無法可得分第二十二
須菩提白佛言
「世尊
佛得阿耨多羅三藐三菩提爲無所得耶
佛言
「如是如是須菩提
我於阿耨多羅三藐三菩提乃至無有少法可得
是名阿耨多羅三藐三菩提
無法〔むほふ〕可得〔かとく〕分第二十二
須菩提白して佛に言さく
「世尊。
佛得たる阿耨多羅三藐三菩提、此れ得たるものなしとすや。
佛言さく
「かくなり。かくなり。
須菩提。
われ阿耨多羅三藐三菩提に何をも、少法だにも得たるなし。
此れ阿耨多羅三藐三菩提と名づく。
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