新勅撰和歌集。撰者藤原定家。序。原文。
新勅撰和歌集
新勅撰倭謌集。底本『廿一代集第八』是大正十四年五月十三日印刷。同十六日發行。發行所太洋社。已上奧書。又國謌大觀戰前版及江戸期印本『二十一代集』等一部參照ス。
新勅撰和歌集
すへらきのみことのりをうけたまはりて我くにのやまとうたをえらふことみつかきのひさしきむかしよりはしまりてすかのねのなかき世ゝにつたはれりいはゆる古今後撰ふたつの集のみにあらすおほやけことになすらへてあつめしるされたるためしむかしといひいまといひその名おほく聞ゆれとこゝのへの雲のうへにめされて久かたの月にましはれるともからこのことをうけたまはりをこなへるあとはなをまれなりしらかはのかしこき御世ことわさしけきまつりことにのそませ給ひてなゝそちあまりの御よはひたもたせたまひしはしめ後拾遺をえらへるひとたひなんありけるしかるにわか君あめのしたしろしめしてよりこのかたとゝせあまりの春秋四方の海たつしきなみも聲しつかになゝつのみち民の草葉もなひきよろこへりかりこものみたれしをおさめ秋草のおとろへしをおこさせ給ひき秋津しま又さらににきはひあまつひつきふたゝひさかりなりたゝ延喜天曆のむかし時すなほにたみゆたかによろこへりしまつりことをしたふのみにあらす又寛喜貞永のいま世おさまり人やすくたのしきことのはをしらしめんためにことさらにあつめえらはるゝならし定家はま松のとしつもりかは竹のよゝにつかうまつりてなゝそちのよはひにすきふたしなのくらゐをきはめてしものことをききてかみにいれかみのことをうけてしもにのふるつかさをたまはれる時にあひてたらちねの跡をつたへふるきうた殘りをひろふへきおほせことをうけたまはるによりて春夏秋冬おりふしの言の葉をはしめて君の御世をいはひたてまつり人の國をおさめをこなひ神をうやまひ佛にいのりをのかつまをこひ身の思ひをのふるにいたるまて部をわかちまきをさためてはまの眞砂のかすかすにうらの玉もかきあつむるよし貞永元年十月二日これを奏すなつけて新勅撰和歌集とすといふことしかり
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