ジュリアン・O、浸蝕。そして青の浸蝕 ...for Julian Onderdonk /a;...for oedipus rex #043
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください
(承前)
しかるべき、
きみは
いいよ。踏んでも
と?
そう
わたしが伸ばした
思考停止。その
綺羅ら
影をも
茫然の
そう
柔順。財布ごと、
そう
波紋は
ええ、そう
奪った。すみやかに
そう
船に乗った。とりあえず東京へ向かった。万札は5枚。その予算による決定。と、および島以外には、修学旅行で14歳。だから一年前に訪れた東京以外に当てが、そのとき思いつきもしなかった。たとえ、そこがあの夜の自由時間。旧防衛庁跡地。思い出すだにいたたまれない血なまぐさすぎる記憶をのみこびりつかせていたとしても。あるいは、血なまぐささに追い出されるかの逃亡なら、血なまぐささそのものに飛び込んでなんら不都合はなくも
はばたきを!しかも
ふるえに、
瞬間的…しゅ
思えた。やがて
なりやまない
ねぇ。だから
なぜ?…あ、残忍な
歌舞伎町に
ひびきを!その
気づいてよ
歓喜…かんっ
たどりつくのだが、新幹線、自由席の車両の洗面所にカーテンを引き、ようやくひとりになって落ち着いた波紋はそっと免許を見た。高田秀則。いつか、と。あなたに詫びに行く。夫婦は、少年がたちさったあとも、じぶんがこれからどうするべきか思いつかない。数秒に思えた数分ののち、…あれ、と「なに?」
風がね
ざわめ
「いまの?」
とおりすぎたんだ
めっ…波?
「なんだったの?」ここらへんに、…ふと。勝美はおもわず失笑にふるえて、「警察ってあるんかな?」
「宮島?」…ないんじゃないか?と、「ひょっとしたら、ここ」秀則は「ないだろ?ここは」周囲「神様の島だろ?」山際を、勝美の頭頂のむこうに返り見た。夢。すなわち、波紋がただ一度だけ見た夢には雪が降っていた。ふたりの、おどろくほどに高齢の、もはや物質の色彩も事象のかたちも維持できない、だから辛辣なブラック・アウトにすぎない視覚上の
おはよう!
不在。あかるい
わたし
視野のなかの
おはよう!
汚点の
きみ
深刻。ささやきあった声が聞こえていた。この子は、と。殺すよ。父親を。あまつさえ、母親をすら孕ませたのだから。「だから、」つぶやく。波紋は、「いま、あなたがたは衰弱し、衰弱しきり、停滞し、停滞しきってもう、色彩もかたちも見せられないんだね?」そのふたりが、実には父と母当人だったとはすでに
いつでもぼくら
ええ。そう
知れたから。それ以外には
ぼくら自身に
見ないか?朝焼けを
あり得なかった。だから
他人のふりを
むしろ。…あっ
彼等はすでに波紋に殺された直後だったに違いない。または、強姦され、うつされた体温も醒めない間、と。恐怖?そうではない、なにか
怖いんだ
きみの、その
時には疾走
どうしようもなく深刻な
きみが。…ね?
凶行を、われわれは
時には迂回
激情が
すてきすぎて
絶句!かつ
時には沈没
波紋にだけ
ね?…恐怖
あきらかに見蕩れ
黙れ。時には
炸裂し、…あるいは、すでに炸裂しつづけていたことに波紋は気づいた。選択の余地はなかった。猶予も。視野の恥辱。それらは、痕跡もないままたしかに波紋をみつめているにちがいない。波紋。まなざしに、と。おれが気づいていないだけにすぎない。処罰されている最中だったかに、もう、波紋は夢の最初からひざまづき、うなだれ、ただ絶望していた。絶望を、みごとに表現しおおせたい欲求?みずからの手のゆびを咥えた。咬みちぎる。最初に、
だって!だっ
吹く
みぎの
咥えられれば
糸を
五本を。血。
咬まれるものだよ
まっしろい
味は
蚕たちでさえ
吐く
ない。その。傷み。それも。「夢だから、」波紋は「ね?これは」現実よりも
ね?ね?ね?
火を放て
ほうら、ねぇって!…いま
鮮明な夢だ、
え?え?え?
残酷に
まばたいたのが、ええって!…ぼくらだ
と。自分がささやく声を聞いた気がする。つぎに親指。右の。つぎ、左手を。つぎ、右足を。つぎ、左手を。おれは、と。「みなさんがおれを処罰しつづけられるように歩けないようにしました。足は、逃げ去るのだから。みなさんが」と、「おれに」聞く。それら「殺しつづけられないように、もう」叫び声。そして「殺しようもなく」それら「しました。手は、」ささやき声。かつ「奪い去るのだから」哄笑。無数の声のずさんな唱和を。…そう、と。もう、すべてを見切ってしまったぼくは、…その「目を抉りますね?」単独の、
声が。いま
あっ
独り語散た
声をむさぼり
あざやかな
声が、後頭部
共食いあ
あっ
おおいかぶさらないうちに波紋は目を抉るべきゆびのない現実に発狂しそうな激情に「ね?」貫かれる。「ね?」脱いで「わたしも?」と。真魚も、脱いで。いきなりの、返り見ざまの春雨の指示に、とまどう以前に了解できない真魚をは捨て置き、
無視?…いいえ
やめたら?おれを
や。容赦なく
もう、
ふれていますよ
虐めまくるのは
や。清楚な
…ね?春雨は「うしろから、抱いて」波紋に、じぶんの耳にさえ聞き取られなかった声をささやき、笑いかけてさえいた。あの「立ったまま、」嗜虐的な「裸の」春雨。その「真魚を。うしろから」一瞬を、まなざしにはっきり綺羅めかせて。「…やさしく」
「ふたりで?」いま、と。波紋。その肉体を静止させたままの問いかけに直接答えた気配もなく「気づいた。…というか、わかった」
微動
ねぇ
「なに?」
大気
見つめて
「いま、必要なのはふたりなんだよ。ぼくに、…ね?これに」指先は「必要」カンバスを指す。「絵に?」
「そっと、…だからやさしく?抱きしめあ、…ふれあう?そういう、ふたり」
「愛がテーマだって?」笑った。波紋が。しかも
繊細な、それらは
と。いきなりの
破綻。はっ
1ミリ・グラム以下の
残骸であっ…あれら。たっ
激痛!
ぼくたちに辛辣な
邪気さえも「愛?」
過去の
と。なけなしの
記憶の。おっ
なく。春雨。「そう言ってほしい?愛し合うふたりにとって愛とはなにか…とか?波紋は。…いや、」
語ろうよ。そう、
赤裸々に
「じゃ、」
われわれの
だ!
「わかんない」
現在を、ここに
明確に
「なに?」…とにかく、と。春雨。いまさら真魚を返り見て、そして真魚にうるおいのあるまなざ
ふれあうものだ
わたしたちは
あるいは、ひかりは
朝には、もう
朝にも、そう
ふれあうものだ
清潔だから
わたしたちは
ふれあうかにも
ささやくものだ
あるいは、ひかりは
あ、あっ
わたしたちは
朝には、もう
ふれあ、…ええ
あるいは、綺羅らは
朝にも、そう
歎かわしいくらいに
きみには、もう
きみにも、そう
いい?あなたに
清潔だから
せつなすぎて、もう
冷淡だから
見蕩れ…あなただけに
ふれあうかにも
耐えられな
ささやくかにも
見蕩れるものだ
ささやくものだ
な、…いっ
わたしたちは
わ…え?たした
くらいに?…ら、
あるいは、翳りは
綺羅らは。そう、
いっ
肌には、もう
肌にも、そう
きみには、もう
なやましいか
ら
あ、
らっ
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