ジュリアン・O、浸蝕。そして青の浸蝕 ...for Julian Onderdonk /a;...for oedipus rex #038
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください
(承前)
まなざしを「そう呼んでもいい」ささげる。「愛、とか?とにかく、ぼくはいま、かさなりあったふたりのかたちが、…形態?肉体が、…息吹きが、さ。」ほしい、その、
大胆に、ふと
語ろうよ。そう
ささやきの
わたしは。唐突な
われわれの
消えない間に柔順な
決意を欠いた
傷みをも、…え?
真魚は
俊敏。その
なぜ?
すでに、ゆるいワン・ピースを脱ぎ始めていた。意味もなく、ややななめ後ろを向いて。思えば、波紋。おれは春雨がいなければ真魚をこんなからだにはできなかったろう、と。かならずしも明確な、性的な拒否があるわけでもなく波紋は、女たちというものをただ淫靡で猥雑で自分勝手で恥知らずな欠損物かに見出していた。あの
詩人たちなら
母。壬生庸子を
自死していたよ
除いては。こじつければ、うつくしすぎて暴力的なまでにうつくしい波紋の、その
詩人たちなら
下痢で。だって
うつくしさのせい。あるいは
殲滅していたよ
腸がないから
執拗な、女として焦がれた匂いと微熱とを感じさせつづけた女。女たち。彼女らに押し付けられつづけた、奪うかのまなざしのいびつさが、波紋から女たちを遠ざけたのかもしれない。島でさえそうだった。夜の街で、さらにだに女たちは波紋にむらがった。赤裸々な、追い詰められた自虐と疵ものにされかの恨みのある、うとましいばかりの
波紋
なんと、すみやかな
愛?いいえ
感情の
は。はっ
溺死。なんと
同情でさえない
波を
波紋
なんと、みずぼらしい
感情的共鳴
ざわめかせて。くちびるをさえ、女たちには波紋はいちども赦さなかった。だから真魚と、やや先行する春雨以外には。庸子。その胸に顔をうずめることには、あるいはいまですらためらいがないにちがいない。あるいは、もはや女であろうとすらしたくない不幸なあのひとは。しかし、あの、発情した女たちの叫喚の轟音のない熱狂は、ただ波紋をひどく鬱にさせた。聞いた。だれからも尊敬された、卒業生の訪問が絶えない
いい?これは
生きる
教師、雅孝の
お前が、たしかに
ひとびとは
思慮深い口から、
誇るべき、そんな
生きる
お母さんは、
記憶だ
あしたさえ
と。「だれよりもむかし、傷ついたんだよ」友達に、あれは小学校の2、3年だったか、おまえのお母さん、言葉変だよね?そう笑われた邪気のない、しかしあけすけな嘲弄。そのときははそれ以上教わらなかった。10歳になった誕生日会あとの、いつかだったと波紋は記憶する。またも夢。庸子は、夢に、またあの夢を見たと夜中に、怯えて泣く癖がある事ならもう波紋も知っていた、その不可解を父に、ふたりだけの朝の庭さきのストレッチ、問いただしてみたのだった。かならずしも答えを求めた切迫もない「そう、」まま。
突風?
あの「だね。もう」空。
ぼくたちは
晴れた「お前は、もう」低いところ。そこの
ちいさいね?
みじかい雲だけが「…そう」
突風?
さらしていた急速な横滑り。の、孤立。雅孝の、みぎ側頭の向こうに見上げた空に。「知っとくべきだね」告白と謂うよりは、まるでその共謀者かに息子に問いかけて雅孝は、いたましい庸子の事実を語った。あるとき、まだ彼女がいまの波紋のお姉さんくらいの年齢のころ、ある暴漢たちに
さけ
いいえ。まさか
襲われた。詳しくは
叫んだの?
聞こえなか
謂わないが、男が
だれ?
か、…ええ
女にしてはいけないことをことごとくその男は
わたし
なにも。いまだに
した。しかも、その舌を熱いコテで焼いて仕舞った。なんども。もっと、女のひとの大切なところも。だから、いまでも庸子にはからだに障害があるし、こころにも壊れやすい弱さがある。もうすこし、お前が大人になったら、お母さんを守ってやってくれ、と。「おれは、どうでもいい」
あ
あっ。あっ。あっ
「お父さん?」
あ
あっ。いっ。あっ
「おれは、
あ
あっ。あっ。あっ
…強いもん」
あ
いっ。あっ。あっ
「ほんと?」
あ
あっ。え?
「でも、お母さんだけは、
生きていた
お前、
あなたは
なにがあっても」そして「守ってやって」約束、な?ささやき。一方的な微笑。雅孝の。さしだされたまま小指を組みあわせあったとき、波紋は要点のみ聞かされた簡素、簡潔の周囲におびただしい苦痛の強烈に、おびえるどころかこころを、ただ落ち着かせていた。ふつうに考えて、こどもに聞かせていい話とは思えない。ごまかしもせず、ありのままを告げ、しかも母をじぶんに託しさえした父に、もう、と。「お前は」大人だよ「強いんだ」と。…だろ?「おれと同じように、」ふいの「ね?」強烈な
あなたは、いまも
そう。すべて
しゅ
承認をあたえられたと、波紋は
どうしようもなく
赦せ。わたしは
じゅ
思った。赤紫の、
目を。綺麗な、
ひとり滅びる
しゅ
向かってみぎの雅孝の虹彩を見つめつづけた。あるいはその異質も、おそらくはそのときのいざこざの中で、彼に加えられた暴力のせいだったのかと不確かな、しかしいまや明確にまぼろし見えはじめる口を押さえた母と、目を押さえた父との必死の抱擁のすがたのけなげを悲劇とも、誇りとも波紋は思ったのだった。それ以上の詳細をは聞こうとしなかった。もう、忘れて仕舞えば
知ってる?鳥たちは
生きていた
いい。細部を
はばたけるのだ
生き
教えられなかったことの、
そうだろう?
生きていた
逆に与えた想像の自由な可能性の領野にじぶんがひとり懊悩するならそれで
ゆるやかな
まばたきが、ね?
おっ。もう、燦燦と
いい。忘れられない傷に、
斜面を
傷いたから
あっ。それら
とりかえしもつかずに傷ついたものたちは、しかし傷をすべて忘れて傷などなにもなかったあたらしい澄み切った風景の新鮮にかれら固有の幸福をただ自身のためだけにさがすべきだ。波紋は、両親の犠牲になれるならそのほうがよかった。知った。もう、じぶんは二度と問いただしたりなどしないだろう、
色彩は
と。
まじりあわない。すでに
あたらしい
それ自体、いわば
カンバスを立て替えて、春雨は
固有なのだから
さらに
つねに
注文をつけた。女、と、「うつむいて、女は。あくまで女らしく。肉体の話ね?これ。…波紋、椅子持ってきたげて」言われる通りにふたりは四肢をねじり上げていき「これって、」
洪水。ひかりは
ささ
「そう」波紋に、春雨は
いつでも
ささやき?
答えた。「そのとおり」
曇る、あの
刺さる
「キリストじゃない?真ん中の」
微光でさえ
ささ
「と、
洪水。ひかりは
ささやきを刺す
…マリア。よく言うよね?だれもが、実質、これアポローンApollōnだろ、と。ヘレニズムかぶれの彫刻家の、ね?…妄想。あるいは、思想?ルネッサンスってそういうもの。ギリシャ、ローマ、キリスト教のゲルマン民族による無理やりの融合。イエスがアポローンだったら、もうひとりはだれ?女は、…アポローン。彼に寄り添うべきは、…ダプネーDaphnē?カッサンドラーKassandrā?ヒュアキントスHyakinthos?アカンサスakanthos?アルテミスArtemis?」真魚を、波紋のややまえに置き、だから波紋は振りあげた醒めた激情の腕に、じぶんがいま真魚を打倒して仕舞おうとしているかに
暴力。あり得ない
き、
錯覚した。あるいは
きみは、まるで
なぜ?
同時に、抱きしめて
加虐のように
不穏な、ええ。しかも
なにかから奪い去ろうした一瞬だったかに
または
きみは。唐突に
も。
世界が、まさに ;contrapunctus à 4
声。声で
だれが?たとえば
声で。ひたすらに
終わった、…と。そんな
声。ん?それは
わたしが?だれかが
冴えた、鮮明な
稀有な日だったかに
微動するためにあったのだろうか?
きみが、ねぇ。だれよりも
鋭利な声で
泣き叫んだなら
わたしはすべて
声が、…あっ。そう
忘れていいね?
声を、そう。軽妙に
叫ばれた
そう、咀嚼して…あっ。いる
音響も、すべてを
世界が、まさに
ゆびさきは、しかも
ざわめき。それら
ややなやましい
発狂を、と。そんな
微光の…ん?なかにも
あるいは無垢な触感が
と息を、と。あなたは
めざましい須臾だったかに
彎曲を…え?さらし
肩に、きみの
もらしてもいいよ
あっ。わめき散らしたら
わたしはすべて
微音を、え?ぼくの
失くしていたね?
くちびるに、そう。こぼれた
飛び散っ
聞こえた?…た。微音
顔も、…あっ。残骸も
ほら
ら
ほら
見える?まだ
ら
見える?…見て
見ていたのだ、ね?
え?
わたしの微笑に
喪失された
ほら
ら
ほら
顔。または
ら
顔に…見て
残骸。…ね?執拗な
あっ
直射。朝日の
ほほ笑みを以て
世界が、まさに
なんのかなしみも
ひかっ…え?りが、まぶたを
世界が?それは
瓦解!…と。そんな
受け付けはしないだろうこの
あたたかにしたら、だれかが
瓦解しようもないほどに、もう
稀有な…そうだ!そんな日だったかに
朝の、あっ。いわば
そっと、耳をふさ
瓦解していて…さ、
泣き…さ。いだっ叫んだなら
わたしはすべて
強度が、だから一種鮮烈なさわやかさの
ひかりが、あっ。まぶたに
すべて、わたしも
忘れても、いいね?
まよいなく。すでに
微熱をにじませ、…だれ?か、が
忘れられない、これら
叫ばれた
かなしみを。わたしに
ふと咬み殺す。ため息を
記憶を、そう。もてあそん
音響も、…でいっ。すべてを
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