ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -308 //ぃいんばんっ。…と/なんですか?名づけた。その/あやうい突起。…を//01





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   落ちる?墜ち

   堕ちてきそう、だ

   空が。月に

   空の月に


   月その空に

   月が。空に

   堕ちてきそう、だ

   落ちる?墜ち

て、そして、むしろ。言葉など見失ってしまっていたがいい。

   なにが?ほら

      乱れ。たしかに

    冴えていた。ただ

     錯乱。…が

   なに?これは

      視野に。聴覚に、

    ひたすら。圧倒的真摯さで

     嗅覚に。皮膚に、

   なにが?ほら

      攪乱。…が

    無慈悲なまでに

     発熱。たしかに

   な。これは

6月。取り乱した秋子の、

   はっ、と。はっ

28日。声。

   ははっ、と

電話で。雅秀。聞き耳を

   はっ、と。はっ

立てた。雅秀は。それが、あまりにもひそめすぎてもはや聞き取れないほどのしかもそうとうに荒れた早口だったから。思った。最初は宮島の土地の所有権争議の話かと。知らない。そんな火種。雅秀の知る限りでは、わからなかった。言葉。秋子。その流麗な、…なに?あまりにも婉曲にすぎ、省略されすぎ、時にある細部のみ詳細になりすぎ、声。冷淡にすぎ、不可解だった。なにも要点を得なかった。思わず、いま、

   は。はっ。は

      厖大な、いま

と。雅秀。「つまり、

   は。はっ。は

      空間よ。この

なんの話、してる?」唐突な「…山崎さん」失語。だから、電話の向こうで。秋子。息を飲んだ。そして吐く。携帯電話からには違いない。その、握る手がいちど力み、そして脱力するのを雅秀は、映像も音響もなく直接意識になすりつけられた。と、そんな須臾がたしかに雅秀には「高子が、」あった。「見つかったの」

   生きてる?

      はぁ。はっ

         聞き、声を

「高子?」と、「あの子?」

   わたしは、まだ

      ははっ。と

         飲みこまれ、声に

雅秀は、「彼女が?」

   生きてる?

      はぁ。はっ

         吐き、声を

ひたい。そこ。それ。その温度が急激に冷える実感に思わずとおのく自分の意識を「どこで?」感じる。宮島、と。秋子はようやく雅秀に事態を理解させるのに成功した。失踪は24日だった。産後、なぜか過剰な貧血にくるしみつづけ、まともに食事さえ取れなかった高子が、いきなり姿を消した。病室から。そのとき高子はまともな金銭など所有していなかった。すくなくとも秋子の知る限りでは。財布なら一応わたしてあった。渡すとき、秋子が確認したのは一万円札がたしか一枚。それから確実に、千円札が8枚。小銭入れにはそれなりの重さがあった。500円玉が数枚、百円玉よりは十円玉の方が多い。1円、5円は秋子が気を利かして抜いておいた。病院で当座、自動販売機等で使う以上の必要を見止めない秋子に、重要なのはあくまで軽さと実用性だったから。失踪に気づいたのがいつか、正確には確定できない。病室での不在は、想えば秋子が着替えを取りに雪の下に帰って、そして病院に戻った午後3時すぎ。その時にはたしかに高子は不在だった。ふたつの記憶。秋子。その時にはおかしいと思わなかった、と、また、

   ためらいがちに

      どんな?どんな?ど

逃げた?と。そう

   風が。外は

      においが、きみに

確信した、

   ためらいがちの、

      どんな?どんな?ど

と。時間を潰した。いちど雅秀からの電話を取った。心配性だった。毎日、暇があれば雅秀は母子の様態を気にかけた。まだ名をつけられていなかった子は、早産のための未熟児だったから。9ヶ月で生まれた。もっとも、いまのところなんら問題ない。すこやかだった。電話の後、病院内またその周辺をさがし、やがて午後5時。ついに、

   ふと。思わず

      …え?

         本気にしてよ

秋子は雅秀に

   飲み込み、ふと

      そうなの?

         本気にしないで

失踪の疑いを、あくまでも可能性として

   唾を。わたしは

      …え?

         嘘だと言って

相談した。確信が持てなかった。このときの感情はたしかにそうだった。ただ、秋子はと惑っていた。すがる思いで雅秀に頼った。雅秀の到着は送れる。午後10時ちかくになると云う。指示通り、秋子。病院に報告。病院側との相談で、とりあえずひと晩様子を見る、と。9時。到着した雅秀はその病院側対応の愚鈍に憤った。雅秀はた痴愚!だ、焦燥してい痴愚!た。痴26日、早朝。捜索願。雅秀はあえて席を外す。雪の下の家に張り込み、高子。その動きを

   動き出さない

      澱み、かつ

待つ。椿には

   感情が、まだ

      冴え、また

告げない。高明を探せと、なぜかいまさら念を押した。…なんで?「あいつ、捉まんないの?」

   まだまだま

「おれの連絡なんか出るわけ」

   まだまだま

「おれのなんか、」と、「もっとよ」椿。雅秀。怒りを咬み殺す。雅秀。眼、

   なぜ、あなたは

      黙れ!

耳、

   いま、そんな声で

      うるせぇ!

肌。それら

   ささやきを?

      黙れ!

感じるすべてが怒りだけを掻き立て、秋子。彼女にだけ無理やり平静を保つ。28日。だからその朝の秋子は、一時ホテルに、と。雅秀は水葉のマンションをそう秋子に伝えた。雪の下、帰ったひとりだけの午前に、秋子。電話。宮島。その警察署から。秋子にはかならずしも動揺はなかった。と、感じられていた。秋子には。宮島の警察署から、

   ふ、ふっ

      微震

壬生高子さんの

   死んだの?

      ふるえていた

縁故のかたか、と

   ふ、ふっ

      微

連絡が、しかも携帯にあったときに、そして事態を極端な気づかいがいよいよ難解にさせると思いながら聞き、聞き取り、その頃にはもう驚きも何も感じなくなっていた。あるいはそれが、警察の、すくなくともその担当者の技法だったとさえ意識の一部で醒めて秋子は批評してい、雅秀。彼に伝達しようとしたとき、すべてがすさまじく

   空が、わたしを

      無理。…さ

         とけちゃ

困難になった。困難が乗り越えられたと

   飲み込もうと

      不可能。…さ

         とけちゃうよ

安堵したときに、まさに、いまさらの激情が秋子の下半身を直撃した。いまや立っていることさえ

   落ちる

      絶叫よ

困難だった。発作的に、

   落ち、ふと

      さかさまに

足が二足直立の

   落ちる

      一直線に

すべを一気に喪失する須臾をしかしあくまで間歇的症状として、だから、

   落ちる

      破綻。すべが、な

         とどまる

わななく。あやうく

   落ち、ふと

      欠落。だから

         吐息が

失禁しそうな感覚が

   落ちる

      破綻。方法論的

         逆流

ふとももの

   落ち、ふと

      うずまく

骨髄あたりにやまない。雅秀は茫然とする自分をあやしんだ。むしろ感情はすさまじかった。歓喜、

   え?

落胆、

   え?

恐怖、

   え?

激怒、

   え?

安堵。また、

   なに?

その他。それら感情の群れは明確に雅秀に咬みつき、しかも雅秀はいよいよ茫然としていく。なぜ?と。思う。雅秀は、なぜ、きみはいま、と、…そんなところに?

   ここに!

      し、を。わたし、を

明確なただ

   来て。いて

      捨てないで

ひとつの問いがこだまし、そして

   ここに!

      た、を。あなた、を

しかもおなじそれがひたすらな忘我を強いようとして、雅秀。意識のすべてでその苛酷と戦う。常に敗北の手前にゆらぎつづけ、…って、「なに?」水葉。「どしたの?」口蓋に、急激に萎えたそれを放して、「なに?」

   救ってやる

      笑って、て。…だから

         おれが、きみを

見上げ、水葉。思わずそして、雅秀をそこにあざわらってしまう。謂く、

   声を。いま

   笑う、その

   声を。ただ

   通過し、目は

感謝。ただ、それ以外には

   声を。いま

    唐突に猶も

   笑う、その

    決然として

   声を。ただ

    あなたは、ひとり

   通過し、目は

なぜ?感謝。ただなぜ?それなぜ?以外にはな、

   声を。いま

      排斥。わたしを

    ひとり、執拗に

     語らない。くちびるは

   笑う、その

      とはいえ、その鮮明な排斥は

    まばたきつづけ

     なにが?その

   声を。ただ

      愚鈍に見せた。彼を

    唐突に、猶も

     他人たちの世界

   通過し、目は










Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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