ユキマヒチル、微光 ...for Arkhip Ivanovich Kuindzhi;流波 rūpa -248 //曼殊沙華を。ふと/踏みかけて、そこ/かかとの先。その//01





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   軽蔑にも、…ね?

   あたいしない、よ

   ふさわしくな、よ

   な、よ。ない。な、ね?


   制裁にも、…ね?

   あたいしない、よ

   ふさわしくな、よ

   な、よ。ない。な、ね?

あいまいな、ひかり。ひかりに、翳り、あいまいな、翳り。翳りに、ひか

   軽蔑にも、…ね?

      すでに、もう

    やがてやがてやが、大気は

     がっさがっさに。ね、

   あたいしない、よ

      乾きかけ、か

    やがてやがてやが、冴えはじめ

     け。傷みかけ

   制裁にも、…ね?

      かっさかさに

    やがてやがてやが、冷気は

     表皮。鼻さきの…ね、

   あたいしない、よ

2003年。その9月。車は、

   魂よ

      その空に

3日。晴れ。

   いま、自在に

      失神しかけた

9月。水葉。車はその

   はばたけ

      ひかり。散乱

マンション庭地に適当に止めた。セルシオ。東京の京プラからここまでの車中、雅秀はほぼなにも

   縦揺れ

      ふるわせた

         ほら、ぼくたちは

謂わなかった。ただ、

   横揺れ

      嬌声。きみの

         いま

運転する椿の

   微震。あやうい

      周囲をだけ、ふ

         ほほ笑みあっていい

さわぎたてた戯れ言に丁寧に対応していたにすぎない。だから驚くほど椿に、その雅秀はいつにもまして心地よかった。もはや言うことのないドライブの相棒。水葉の部屋に上がり込んで、ひとしきり水葉に自分に媚びをうらせたあと、

   はっ

失笑。

   はっ

椿。窓ぎわで。サッシュにもたれた背がふとかゆくて、椿は頸を

   いま我々は

      道徳的なその

傾けた。

   自由。完全に

      吐息。かつ

言った。雅秀は、「あいつ、」水葉に。…って、「だれ?」

「壬生。高明。だっけ?壬生高子の餓鬼」ふと、水葉はひさしぶりに思い出す名前に、眼を

   沈黙を、やや

細めた。

   じょうずに、し

知っている。すくなくともふたりはわたしの肉体組織をは傷めないだろう。と、水葉。たとえばわずかな殴打。そしていまさらに、強姦、とか?もう何度も抱いて抱かれ飽きた後でさえも、強姦はやはり

   さわがしいほど、に

      汗?なんで

成り立つのだろうか?

   きみ。その髪の毛が

      ひたい。うっすら

笑う。そこに、

   乱れたまま、に

      汗?なんで

水葉は。それが「って、彼が」不用意とすでに知っている。「どうしたの?」

「連絡つくか?あいつと。お前」

「壬生くん?」たのしかった。水葉は。噓をつく気はない。ごまかす気も。聞かれたらすぐ言ってしまうつもりだった。そもそも「連絡って、

   見たい?

      エロエロです

でも」あの

   発情期の

      想像していて。しかも

子供は

   クソ餓鬼の醜態

      憂鬱に、やや

入れていない。まだ、「まーくん、彼の、なに?後見人みたいな?」所詮、口だけ。正確には、いたぶるような、「感じ、じゃ、なかったっ」舌と「…け?」歯。「お前、連絡できるならしとけ。やつと。出て来いって」

「なんで、」

   迅速に

「やつに」

「わたし?」

   俊敏に

「あんクソ餓鬼。自分で呼び出す価値あるか?おれが。だから、いちいち」笑った。「壬生雅秀が」唐突に、と、そう水葉に思われた椿の笑い声は、

   ひびき。わたしの

      り、かけ、なんで?

雅秀にはかならずしも

   かすめた。こめかみを

      指先。まがり、かけ

不用意ではなかった。いつものように、雅秀はこれみよがしなその哄笑に身を一瞬「なんか、」かためた。「あった?」水葉。沈黙。故意の。雅秀。ささやく。「しで、」水葉は、「しでかした?やっちゃった?あいつ」…あんたの女の部屋でケツ見せつけて舐めまわさせた、

   ちがうよ

的な?。沈黙を、

   わたしじゃないよ

水葉は。

   ちがうよ

笑み。笑んだ。むしろ

   笑みを。ただ

      まがりかけ

雅秀を

   かけがえのない

      なんで?指先

赦してやるかの一方的なその

   笑みを。きみに

      停滞。その

笑みで、雅秀。ささやいた。「やらかしたよ。…」ふいに。「小僧。所詮麻布台の血だよな。奴ら。盗みよったよ。…みかじめ。ここらの。カスよな、」すでに「あいつら。」雅秀はその人格的な貪欲と卑怯とで、椿はその容赦ない暴力の苛烈で、このあたり一帯に知られ始めていた。だから壬生高明と沢田楠が集金に回れば、たとえ彼等が子供だったとしても造作なかった。従うしかなかった。雅秀はときに椿にささやいた。ここでも警察は無能だ、と、彼等に容易な事以外、あくまで興味をしめさない。こなさなければならないノルマがあるのだから。せせら笑い。また、高明が壬生だということならここの誰もが知っている。のみならず、高明は高明で、地元中学の問題児として必要以上に有名だった。集金は不可能である理由を持たない。雅秀はただ、高明たちがなにか問題に頸を突っ込むのを待てば良かった。その高明たちが、最初の一回の納金以外、一度も入金していないのは事実だった。初回が八月の半ば、それから週締めのどの週明けにも連絡さえなかった。椿の舎弟分をとおし、集金された事実ならすでに押さえていた。言い訳の余地はない。いたぶってやるにはいい機会だったが、ぶ。と、椿。ぶしゃっ。…と。椿。そこにいきなり派手なくしゃみをしたので、水葉は

   ぶしゃっ

      ひかりでおれを

思わず

   ぶっ

      青空よ。その

顔をあげた。

   ぶしゃっ

      ひかりでおれをも

見た。窓。逆光。椿。鼻をすすり、いきなり叩きつけるかに開けたサッシュ。外。唾を吐き捨てて壁を、椿。殴った。拳で。一度だけ、…てか、椿。さ。「おまえ、いま、しろよ」至近、折り曲げた上体を無理やりに水葉の額に近づけ、その

   おびえを、もう

息。

   きみは、わたしに

くちびる。

   あたえることさえ

最初

   おびえを、もう

水葉は、キスされるものと眼を閉じかけていた。椿。その、雅秀のあぐらを押しのけた強引に、雅秀は片手をついて避けているしかない。だから、「いま?」のけぞるように。「連絡しろ。お前。できんじゃね?すぐ」

   キスまで

      うずく。く、

         鮮烈な

「高明?電話?メール?」

   何秒?

      うず、傷

         口臭に

「鳴らせよ。タコ。決まってんじゃん。どこのタコなん。まじリンリンすんにきまってんじゃん。それ以外あんの?電話リンリンわかる?日本語わかんの?タコ。パンダじゃねぇんだよタコ。中国産喰らわすぞコラ。しかも墨吐かすぞコラ」言いながら椿は「それって、さ」自分で思わず「イカじゃん?」

「タコもだよタコ」数度吹いた。そのたびに「タコも潮吹いて墨吹くんだタコ」水葉は唾液をひたいにあびた。顔、洗わなきゃ、と。やがて水葉は

   きたなくないけど

赤裸々なほどに

   きたないから

素直に笑った。「いっ。

   え?

      かなしいほどに

よ。いっ。

   やば。わたし

      瞼。あやうい

って。ちょ。

   ピュアに、すっげぇ

      発熱。やや

待っ。ちょ。

   爆笑中じゃん

      温度。憂鬱な

ちょ」故意に、床に座ったままの腰をふるわせてやった。いたぶっちゃ、お、よ。そこに水葉はそう繰り返す。頭のなかに、思い切り馬鹿げた媚態として、Tシャツのネック。それが垂れさがるまま

   ゆれています

      容赦なく

         家畜のように

雅秀のかたわら、

   たわわです

      やさしい日射しが

         鳴いてあげよう

すれすれに、雅秀。その

   好きなんですか?

      ななめに、そっと

         やや末期的な

双渺の至近、

   ぷるぷるです

      きみをさえ

         咆哮と放屁

水葉。膝をついて、ベッドの真ん中外れに投げられていた携帯を指先にもて遊ぶ。…や。あ。や。指が、おもしろいように携帯をはじいた。ゆれる上体に、

   や、

雅秀が昂揚を

   あ、

禁じ得ないのは

   や、

水葉。知っている。水葉。匂い、水葉。嗅いでる?思った。水葉は、変態おやじ、

   発熱。…していて

      や、

発情中?「もしもし、…」

   日が翳っても

      あ、

やばっ。ほんの2コールも数えず電話をとった高明を思わず水葉は笑った。撫でた。膝枕に抱く雅秀の「っていうか、」頭を。「あんた、マジ莫迦?」

「言えよ。ミー」椿。

「クソやばいよ。あんた」

   見ていてあげる

      違う。わたしは

「ミー、高明だろ?」

「ら。あんたら。いま」

   きみを、その

      かならずしも

「それ高明だろ?」

「雅秀叔父さん、ご立腹でさ」

   激怒。そして

      裏切りはしなかった

「ミー、お前」

「うち、いらっしゃってん…って」

   嘲笑の共存

      もとから、あなたの

「指だせって」

「ちげぇから莫迦。わたしんち。マジ莫迦」

   見ていてあげる

      そばには

「お前、どうしょも」

「来れる?いま」

   きみを、その

      いちども

「しょもねっから、指」

「あんの?パクった、あれ。なに?」

   まなざしを。わたしを

      存在していさえ

「出しとけって、お前」

「あんの?まだ、」

   見つめる虹彩

      まして、あなたが

「ミー。それ」

「パクったっしょ。莫迦。やりすぎだかんね」

   見ていてあげる

      あるいは、ときに

「高明だろ?いま」

「マジやっ。は?やりすぎてんじゃん」

   きみを、その

      望んだかもしれない

「言えよ、それからさ」

「やりす、終了じゃん。はい、しゅう」

   わななきかけた

      忠誠、とか?

「調子のりすぎじゃね」

「いるよ。あたりまえじゃんいっつも」

   なぜ?瞼

      忠実?

「って、いま。ここ昨今、さ」

「だからいっつも椿兄さんいっしょじゃん?」

   見ていてあげる

      おちょくったり

「こういう昨今」

「知らね。関係。知らね」

   きみを、その

      からかったり?

「おれとつるんでなんかここらへんで」

「謂えば?それ、そういうの本人」

   怒号。を、つくろうとしながら

      そうじゃない

「調子のりすぎ?」

「関係ねぇから。うち。やめて」

   しくじりつづけたその

      捧げなかった

「みたいな?」

「来て。これる?いま」

   見ていてあげる

      いちども

「いきってんなよ。みたいな?」

「だから莫迦。や。莫迦」

   きみを、その

      あなたに、たとえば

「言え。ミー。い、」

「てかあんた」…来いや、と。いきなり形態を奪って受話器に雅秀が怒鳴ったときに、すぐさまに通話は切れていた。驚愕。椿。水葉。ふたりに。あるいは、

   え?

呆気にとられた須臾の

   海底火山?

思考停止。あまりにも、その激怒の雅秀が意外に見えて。ふいに、水葉は声を立てて笑った。椿は一瞬の不機嫌のあと、額から頭をなぜあげた。雅秀さえも、自分の激昂のふいうちにすべて、もてあましていた。自分も。水葉も。椿も。または激昂それ自体をも。蹴飛ばした。椿が、唐突に冷蔵庫を。落ちた。茉莉花の

   やめて

      休火山噴火?

ビンが。

   こわれちゃう

      え?

砕けた。派手に。お掃除の、と。必要性。足もと。水葉。お茶っぱだらけに、椿。その足もと。踏み、振り向いて椿は水葉にささやいた。…ごめん、と。笑った。水葉も。「請求は、」と、「壬生くんに。…ごめんね」どちらの壬生か、水葉は椿の心を思いやりかけ、すでに忘れた椿は笑った。のけぞり、そして雅秀はひとりおびえた。謂く、

   それら、もはや

   消す。色彩を

   褪せ、それら

   血。ち、

表情が、だからわたしの表情だけが、

   褪せ、それら

      匂いが。その

    あったのです。感覚が

     くさい。…なぜ?

   血。ひとつぶ

      近づけられた、それは

    不可解な、感覚

     女たち。だれも

   それら、もはや

      肉体。温度のある、その

    以前、すでに

     似通った、…なぜ?

   色彩を消す

どこ?顔は。顔

   褪せ、それら

   血。ひとつぶ

   溶け、それら

   細胞。ひとつぶ

だれの?顔。顔は

   溶け、それら

      匂いが。その

    見たことがあった、ん。です

     臭気を。…なぜ?

   細胞。ひとつぶ

      近づけられた

    そんな、…なぜ?気が

     香気?だれも。だれも。だれ、も。が、

   それら、もはや

      肉体。しめりけのある、その

    滑稽なだけだ

     似たような、…なぜ?

   被膜をなくす

表情が、だからわたしに表情だけが、

   それら、もはや

   被膜をなくす

   溶け、それら

   細胞。さいっ、








Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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