アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -98 //冷酷。睫毛の/それら、すこしした/なぜ?沙羅/ふるえていた//07
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
謂く、
知った。だれも
なにも。いつも
ほろびなかったと
ほろびつづけて
知った。だれも
なにも。いつも
目覚めなかったと
目覚めつづけて
謂く、
知った。だれも
おのきながら
まさか。転生?
記憶もないきみに
なにも。いつも
歓喜。また
そんなこと
恐怖。また
知った。だれも
出逢えるよ
まさか。転生?
歓喜のうちに
なにも。いつも目隠しに、しかもくちびるをそっと、その沙羅はふれ、舌で、しかも舐めはしないで。気づいた。あおむけた沙羅の腰骨の不用意なうきあがりに、沙羅。その腰。その腕をふたつとも敷いていたこと。だから沙羅はそこで、まるで後ろ手にしばられていたように。そんな意図など、沙羅自身にさえなく。たぶん。あるいは
発作。過呼吸の
駄目です
無意味な腕の
発作のように
せめて、安静に
放置。わたしの
ぼくらは
駄目です
まなざしに沙羅のはにかみ、羞じらいを?感じさせたがまさか。ありない。沙羅。そんな人間的な?女らしい?女の子らしい?それら、沙羅に赦されるはずもないこころの微動。返り見て、なにかいいかけ、たしか。なにかいいかけた須臾にはすでに、だから振り向きざまの殴打。タオを、ランがひっぱたいた。その九月、もしくは八月?…の、
発作。ヘルニア痛の
ちがうんだ
おわりに。
発作のように
欲しかったのは
たしか。タオが
ぼくらは
そうじゃな
家出したのは十月だったから。しだいに夏の灼熱の強度がおさまりかけたころ。タオの最後の失踪は。やや稀薄になりはじめた亜熱帯のこころもとない秋。そんな季節。タオの家出がランの不用意な折檻に起因するとは
めぐる季節に
愛。きみに
想えない。殴打から家出までの間、ふたりにそれ以上の問題は生じなかった。なにも変わらない睦まじささった。しょせん忘れられるべきささいな挿話。もっとも、タオの見ていた風景がどんなものだったかわたしには
めぐる季節に
きみに侮辱
わからない。あの巨大な家屋。巨大な庭。しかも不似合いなふたりだけの居住者にはもてあますしかなかった故の荒廃。見かねたように足しげく通い、しかもなんの貢献もなかったタオ。十六歳。頻繁な往来。二か月か、二か月半くらい。そんな時期の唐突な終わりを告げた殴打。羽交い絞めにされたように、だからじぶん勝手に身をよじった不自由になに?見るべきは、なに?羞じらい?自虐?拘束?虐待?嗜虐?沙羅の肢体。ついにわたしのまなざしに答えをあたえず、そのどれもが錯誤にすぎないことさえかくさなかったうごめく腰。腹部。綺羅。やがて翳り。とけあうように、這うように、肌。見蕩れなど
わたしたちが
統御
しなかった。須臾にも。なら、
見つめあっていた
感情を
なにを?まなざしは、
あやふやな
制圧
そこに。たしかに
午前
感覚を
痴態と謂うべきだった。その肉体。かくされるべき部分をかくしもせず、むしろつき出すようにしてゆれうごかし、のけぞる。唐突なタオ。その頸が。ほんの、猫の前足のそれにも匹敵しなかったはずのたわむれじみた殴打。ラン。本気のランの渾身の暴力。おおげさに、そうなるしかない力学の必然をなぞってみせた正確さで、尻もちをついたタオ。床に手をつく。ひらいた大股。デニムのぶあついパンツにつつまれていた。なんら羞ずべき恥部のさらけだしもない厳重な股のひらきが、しかも陰湿な痴態に見えたのは、その顔。あくまで顔の、それ。のけぞった上半身のうえ、唐突にさらされた犠牲者の?…絶望の?…無抵抗の?…降伏の?…顔。虐待。はるかに年上のわたしたちによる熾烈かつ不当な虐待。タオだけがそこに虐待の事実をつきつけて、そのあまりにも個人的な悲劇の純度。それが、わたしたちのどちらをもそこに放置した。わたしたちにとって、ランはそこにただ無関係な他人の無関係な悲惨を見せていただけだった。その翳りにも綺羅。沙羅。そのさらけだしていた繁茂の、手入れされない濃い翳りに、綺羅が。散り、ながれるように散り、おのづからに明滅していたかにも。発光?恥毛。そこに、もう、と。わたしは
ランの、それ
疾走を
思った。沙羅の
手入れされない
かなしみを、愛と
瞼は
野放しのそれに
錯覚しかけた
ふさがれていた。なら、
ふと
こころが、ふいに
いま、と、その
失笑を
全速力で
くちびるも?くちびるが、だから沙羅。その、息をすいこもうとした唇が笑み、わたしのそれ。笑みかけの瞬間にはもう沙羅のくちびるはふさがれて、それ。わたしのそれに。窒息をたくらんだかにも。そのたくらみ。わたしの知らない、だから他人のいぶきの存在する錯覚のなかに、わたしはわたしを放置しはじめた。ささやいたのだった。なにか、そのタオ。殴打の直前。ランの昼食の準備を、かならずしも手伝うというでもなくただ役立たずのタオ。いつもの無能。無意味な時間。ふと。ランの肩ごしに、わたしにだけたくらみのある流し目を送った。陰湿なタオ。ランの耳もと、それはななめうしろからそっと。ささやき。その数秒のあとだった。速度を咬んだ手のひらがタオを
失踪していた
かがやくから
傷めたのは。タオは
わたしのこころ
世界中がいま
そこに
こんにちは
かがやいたか
恐怖していた。その褐色の手をいきなり、ひっぱたかれたと反対の頬に——思い違い?わたしの。あてて、あてようと腕をもたげた瞬間にあやうく転がりそうになりなった、だから
も、いいんだ
ぜんぶ。ぜんぶ
動揺。
壊して
ね?…
タオ。
も、いいんだ
きみのものだよ
引き攣って、
ぼろぼにし
ぜんぶ。ぜんぶ
タオ。
も、いいんだ
ね?…
戦慄。
だいなしにし
きみだけのもの
犠牲者の
も、い
ぜんぶ。ぜんぶ
タオはひとりあとじさりに、尻と太ももをのみうごめかし、這った。そこには不器用な尻。そしてひかり。ななめにながく侵入していたひかりの帯び。床に流れたあわい綺羅。床にふるえた指があやうくふれそうになる。腕に血走った気配があった。ただ、あざやかな褐色を健康的に、それはさらしているにすぎなくも、え?…と。おどろき?ただ、ただただかるい、晴れた日に晴れた日射しが熱いと、それだけの当然にあらためて気づいた、そんな?おどろきとも謂えないしかし、たしかにこころをざわめかせた、…なに?
あやういね
愛。赤裸々に
それは、なに?
思わず、つぶやく
おれをつらぬき
なんと?
そんな
土砂降りの雨に
なんと名づけるべえ?と。え?思わずくちびるにこぼ実在感のない、くちびる。こぼれかけ、不在感さえもない、くちびない。なにも。わずかに、なんら、声などえ?も、ん?も、なにも。しろい色彩が、砂のように崩壊した須臾にそこに、そのしろい色彩があったことを知った。ながれ、くずれる砂のなかに、なんということもなく笑む清雪がいて、…何歳の?大人になりかけた、その時にはまだ見たこともなかった清雪がだれに?そこに、たしかに笑み、笑んでいて、「…ね?」ささやいたその声は聞こえない。聞こえもしないままに、あきらかにそこに、言葉をだけしらせた唇のうごきがあった。
「なに?」
「きっ、」…来てよ?
「嫌だよ」その、実在感も不在感もないくちびるがささやくのを、笑みこそすれ清雪はなにも厭わない。知っている。彼が、わたしがついて来るものだと知っているからだと、しかも、知っている。わたしに抗うすべなどないことも、だから知っている。実在感も不在感もない足。腰。股関節。筋肉、筋、軟骨、意外に、腹筋。肺。…この程度で?実在感も不在感もないままに、わたしは自分が步いていた事実をそっと告げられる。だれに?
沸騰し、ふっ
ゆらぐ
だれという人称もなく、だから、
なにが?血が
冴えたまま
だれかに。
発光して、はっ
風景は
移動など
なにが?骨髄が
にごる
ない。すでに
細胞たちが
明敏なまま
辿り着いていたから。執拗なまでに、
ピクノ核融合の夢を見た
風景は
澱んだ水の匂いがした。水そのものがしかも甘く、醗酵したとでもいうべき?…そんな。口をあけて、ひざまづいて、知性などもはや欠片さえ感じさせない生きた、残骸の醜悪を。目も、鼻孔も、ひらききる。耳の孔さえ
にじむように
背後。きみの
ひらき切っているのではないか。
かすむように
背後で、わたしは
みにくい。
とろけるように
口蓋をひらき
きたない。
きざすように
ひそかに
はずかしい。
うばうように
ほそい
ふれたくもない。
うしなうように
息を、吐く
おなじ空気さえ
さらけだすように
吐き
すいこみたくなく吐いた空気の、空間をへだてた遠い接触でさえ厭わしい、と、そんな、…わたし。それはわたし。老いさらばえた、みたこともないわたしがそこに、抱くもの。その腕に。見覚えのない、しかも記憶しかないそれ。記憶しかなく、なんら記憶の具象もなくて、むしろ匂いをだけ匂わせた、そんな。…知っている。そう
生命はすべて
どろっと
思った。そして
神秘の埒外にある
だから
事実だった。きたならしい
死滅はすべて
てのひらにだけに
わたしが腕に抱いた
思惟の埒外にあ
あぶら汗
うまれたばかりの新生児が、たしかに。清雪が、いきものの残骸に過ぎないわたしの、身じろぎもしない形骸になんら用事もなく、——あぶない、と。近づき、——やめて、と。そして、——ふれないで。そのきたならしい残骸以下の肉片の、しかもいきいきとした肉塊に、
飛ぶんだ
ネオン燃焼過程です
さわないで。
我々は
ブラックホールが
汚れるから。
海王星の
蒸発します。いきなりの
近づかないで。
ダイヤモンドの海に
炭素燃焼過程です
穢いから。…と、立ち止まった清雪はこともなげに、わたしを返りみると、「…だれ?」ややしたのほうを指さして、笑む。笑みかける。わたしはもう、まばたきさえしない。見ひらいてるばかりだから。ふきでる汗に
ひらっ
ひらめのように
まみれながら。
ひらっ
オルドビス紀のひらめのように
瞼など、もう存在してはいないかにも、しかもたしかに感じていた。まぶたのとどめようもない痙攣に、…なに?問うまでもなく、清雪のゆびがその新生児をだけ指していることなど自明だった。なぜなら、わたしの腕には常識外れの重量をあずけて、常識外れの躍動をそこにさらしていたから。だから、その
カローンと
返り見ないで
新生児が。ん?
プルートーとに共有された中央を
燃えるから
なに?
名づけた。オルフェウス点と
返り見な
と、喉にその言葉もふれらないままに、——開いていたから。もう、顎の間接を変形させたと想えるほどに、開かれきって、口蓋。のどぼとけに、のどのすじ、皮膚にも痙攣。わたしは、「ね?」
ん?
歌え。しかも
回答?
ん?
お前の孤独を
清雪の?
ん?
しかも、歌え
その、「ね、ね、ね、…」声を聞きき、「なに?」
ささやく清雪の声にまばたいた。わたしは、
「だいじょうぶ、ですか?」
見た。眼の前に、あやしむ清雪の目、その、十三歳の。わたしはすでに、笑っていた。いきなり吹き出したその声の場違いに、あえて清雪のただただ案じる深刻で、真摯な目つきはすこしも穢されない。清雪は、見つめた。その、道玄坂の喫茶店で。
「いま、…」
「なに?」
「どうしちゃったの?」
「おれ?…」と。そしてようやくわれに返った。清雪は笑む。眉を顰めて。だから、安堵と嫌悪。そのまじらない同居。「ひどっ…からかった系なの?」
「違う、」
「ひどっ。ぼく、いま…」言い淀む、不意の憂い顔に、…なに?「おれが、どうしったって思ったの?」
「もう、いいです」
「言えよ」
「もう、大丈夫なら、それで」
「夢」と。わたしが唐突に云ったひとことを清雪は容赦なく聞き逃す。…意味が、かれの明敏な脳裏にはきざさない。「見たの。おれ、」
「夢?」と、「いま?」すなおに、清雪は眉間の皴を深くした。「ここで?」
「目、醒めてたけど、…だから、一瞬だけ」
「なに?…聞いてなかったんですか?ぼくの——」
「お前が転生…生まれ変わって、」
「ぼくの?」
「もういちど、おれの子供になってる」
「あなたの?…また?」
「いや?…でも、」
「そ…」…か、と。最後のカ音は発話されない無音のくちびるに、そして、あらためて清雪は笑んだ。ふたたび、ながれる目。そらした。わたしから。「…そ」…か。やがて、なんの表情もきざさない清雪の顔のこちらにわたしはひとりで笑っていた。謂く、
扉にふれ
見捨てた蝶が
立ち上がり、その沙羅が
見捨てた屍が
謂く、だれ?くしゃみ。だれ?
あした、蝶たちが
あの蝶たちが
燃えたつ。色彩
せめて
熟れくずれたら、彼等の
撒き散らし、ふるえ
ほら、いま
蝶たちが
肌が腐敗したら
舞い、撒き
燃え
とむらうの?
沙羅を。あざやかな
かぞうべくもない
鱗粉が散った
無数に散った
虚空に、匂い
虚空も、匂い
悪臭を散らした
匂いが散った
鼻に慣れない
あした、人間たちが
とむらうの?
香り
舞い、ゆれ
滅びたら、彼等の
蝶たちを
ほら、いま燃えたつような
ゆらぎ、ふるえ
世界が崩壊したら
せめて
香り
あの蝶たちを
蝶たち。あざやかな
かぞうべくもない
鱗粉が散った
無数に散った
虚空が、色づき
虚空は、色めき
無数に散った
鱗粉が散った
かぞうべくもない
蝶たち。あざやかな
あの蝶たちが
香りたつ。色彩
せめて
世界が滅びたら
ゆらぎ、ふるえ
ほら、いま
蝶たちが
滅びたら、彼等の
舞い、ゆれ
香り
とむらうの?
あした、人間たちが
謂く、だれ?くしゃみ。だれ?
無言でわらった
ひらいた口に
声もなく笑み
頬にわらった
死にさえしない屍はその
頸が傷む。ただ
沙羅。あまりにも華奢な
沙羅。のけぞる
そこ。沙羅を見あげ
頸をねじった
屍。そこに
見捨てられていた
だれか。沙羅
死んだのは、だれ?
涙などない…なぜ?
とむらい。沙羅
屍など沙羅に忘れさせその
倦怠のときは
沙羅。あまりにけなげな
沙羅。須臾の
屍を見捨て
うつぶせて死んだ
見はしない、そこに
かたむく頸は
わたし。沙羅
うめられたのは、だれ?
花もなく、…なぜ?
とむらい。沙羅
わたしをとむらうその
みずみずしい朝
沙羅。あまりにたしかな
沙羅。朝の
光りに光らせ
真横に射した
上半身を、そこ
ふいにもたげた
わたし。沙羅
死んだのは、だれ?
埋葬。…だれ?
とむらい。沙羅
すべて、消しさったから
きえかけのゆきだに
しらゆき、こなゆき
雪ふりしきり
まっしろにしろ
血も肉片も、もう
うずめればいい
屍を雪が
この亜熱帯に、いま
夏の終わりかけ
雪がふればいい
わたしたちにいま
謂く、わたしが、あびる。ひかりを、しかも、あぶるように。しかも、ひかりを。あびる。わたしが、
沙羅。わたし。この
見て
とけあうように
いいよ
鳩尾に綺羅。しかも
その色ら
まざりあうように
さわって。もう
翳り。いま
見て
雪崩れるように
いいんだよ
にじみあうように
いぶきとともに
ゆらめいてしまうよ
わたしはいちども
綺羅も
息するたびに
綺羅も
ほんとのことを言わないで
這う翳り
息するたびに
ながれ、翳りも
きみはいちども
ゆらいでしまうよ
いぶきとともに
にじみあうように
いいんだよ
雪崩れるように
見て
翳り。いま
さわって。もう
まざりあうように
その色ら
鳩尾に綺羅。しかも
いいよ
とけあうように
見て
沙羅。わたし。この
謂く、わたしが、あびる。ひかりを、しかも、あぶるように。しかも、ひかりを。あびる。わたしが、
ただ、たしかに色と
色めきと
色づきと
ただ、色彩と
まなざしは知った
綺羅さえも
色彩は綺羅
光りに消えた
見て。その色ら
まざりあいかけ
とけあいかけて
にじみきれずも
にじみあっていま
翳りら。雪崩れ
肌に綺羅。そして
見て。わたしの
光りに、沙羅
翳り。朝の
翳り。なにかの
這う。壁にも
翳り。ながめに
黒みのない
陽炎のしたに
そこに死んでいた
だから、わたしは
ふれていた手ざわり
事象。そのゆびが
沙羅は、わたしは
翳り。ななめに
ふみつけそうな
沙羅。その足元に
そこに死んでいた
だから、わたしは
見出したすがた
事象。まなざしが
生。死。それらは
沙羅がわらった
床のうえ
声をたて
屍はわらった
謂く、わたしはそして、嘔吐しかけるのだった。思わず
擬態された
知ってる?
恍惚の沙羅は
後悔など知らない
屍。沙羅
贖罪とは偽造
滅びた世界
けものたちが
そこに、浸った
そう。知ってた
消滅。死
原野を走り
自分の死に、いま
いきづく喉は
知ってる?
恍惚の沙羅は
走られた原野に
死んだふり
糾弾とは過失
消えた世界に
いぶきさえ
沙羅。ひとり
そう。知ってた
もういないじぶんに
残さなかった
殺されたふりをし
感じようとし
ほほ笑みながら
笑うわたしは
朝日さえも
意識を澄まし
自壊しようか
救われるべき
ひたすらに
見出そうとし
ほら
救いのない死
うつくしいから
だからそれ
感じられるべくもないもの
ついに不在の事象であるもの
だから限界のさらにそのさきの
辿り着き得ないという事実を
あり得はしないという事実を
それが偽りということを
感じた須臾にはさらすもの
感じられるすべもないもの
だからそれ
うつくしいから
救いのない死
ほら
見出そうとし
ひたすらに
救われるべき
破壊しようか
意識を澄まし
朝日さえも
笑うわたしは
ほほ笑みながら
感じようとし
殺されたふりをし
残さなかった
もういないじぶんに
知ってた
沙羅。ひとり
いぶきさえ
消えた世界に
断罪とは偽善
死んだふり
走られた原野に
恍惚の沙羅は
知ってる?
いきづく喉は
自分の死に、いま
原野を走り
消滅。死
知ってた
そこに、浸った
けものたちが
滅びた世界
贖罪とは欺瞞
屍。沙羅
後悔など知らない
恍惚の沙羅は
知ってる?
擬態された
謂く、思わず嘔吐しかけるのだった。そしてわたしは、
沙羅をわらう
狂暴にわらう
声を立て、しかも
沙羅、わらう
見え、そこに
わななくのが
笑いにのけぞり
わたしがふいに
見たの?屍の目に
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
じぶんの死にいま
事象。その死
まなざしに
笑みにゆがんだ
血をさえ、感じた
その死。冷え切った
沙羅は見せた
頸をかたむけ
沙羅の屍は
救いのない死
救われるべき
笑うわたしは
見たの?屍の目に
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
沙羅の屍は
二度と
虚構
肉体を、いま
いないじぶんに
目覚めないで
喉さえ
無気力。死んだ
消えた世界に
おやすみ。もう
脱力
沙羅は見せた
恍惚の沙羅は
謂く、あびる。ひかりを。あぶるように、ひかりを。あびる
沙羅の屍は
いないじぶんに
消えた世界に
恍惚の沙羅は
見たの?屍の舌に
なにを?沙羅
そこに、その舌に
なにを?沙羅
じぶんの死にいま
味わう。その死
くちびるに
笑みにゆるんだ
肉体に、見た
その死。滅びた
沙羅は見せた
まばたく。いちどだけ
沙羅の屍は
聞こえない声に
声。ひびき、すでに
あざけるわたしは
見たの?不在。その目に
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
沙羅の屍は
二度と
虚偽
魂を、いま
消滅。死
目覚めないで
いつわり
その死。滅びた
滅びた世界
おやすみ。もう
妄想
沙羅は見せた
恍惚の沙羅は
謂く、なにを?あびる。あぶるように、あびる
沙羅の屍は
消滅。死
滅びた世界
恍惚の沙羅は
見たの?屍。その目に
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
なにを?沙羅
じぶんの死にいま
事象。その死
まなざしに
笑みにひらかれた
肉体に、見た
その死。滅びた
沙羅は見せた
擬態。たわむれ
沙羅の屍の
凄惨な死
無慚な世界
笑うわたしは
なにを?沙羅
そこに、そのまざしに
見たの?屍。その目に
なにを?沙羅
屠殺者。ほふられて
それらがいきたえ
死の時はいつ?
ほろびてしまい
いま、わたしだけが
最終的に
その細胞たちの
それらがほろび
沙羅はいま
いきたえてしまい
たとえばきみが死んだら
最終的に
屍。死屍
謂く、あびる。あぶるように、あびる
屠殺者。ほふられ
いまわたしだけが
沙羅はいま
屍。死屍
わたしが殺した
血まみれの世界
官能を咬んでも
これが、最後に
沙羅。わらう
これが、ほら
いいよ。ひとり
あなたの
ひとり、わたしが
沙羅
ほほ笑んでも
最後の絶望。これが
痙攣。いま沙羅
謂く、ん?ひとり、わたしは立ちあがっていた。すでに、窓をひらく
わたしが殺し
沙羅。わらう
ひとり、わたしが
痙攣。いま沙羅
傷みをあげよう
焰のような
引き裂いた腹に
引き出す臓腑に
沙羅。苦悩をあげよう
炸裂に似た
ちぎられた足に
しゃぶられる骨に
凌辱を咬んだ
穢された恥辱。いま
手おくれの
世界。未曽有の
世界。無謀な、無様な
沙羅。その死
そこ。風景に
叫喚を見た
綺羅。最後に
沙羅。虹彩は
狂乱したまま
不可能を知り
無慈悲を知り
目舞わせたまま
沙羅。虹彩は
綺羅。最後に
叫喚を見た
そこ。風景に
沙羅。その死
世界。無謀な、無様な
世界。台無しの
手おくれの
穢された恥辱。いま
凌辱を咬む沙羅
しゃぶられる骨に
ちぎられた足に
炸裂に似た
傷みをあげよう
その内臓に
引き裂いた腹に
焰のような
傷みをあげよう
無慚な世界
痙攣。わたしが
沙羅。これが
最後の絶望
惨劇。わたしは笑う
沙羅。ひとり
血まみれの世界
これが
悲惨。あなたの
わたしが殺した
ほら
あなたの
沙羅。これが
謂く、なに?ひとり、窓。わたしが立ち上がった。すでに、ひらく
無慚な世界
わたしは笑う
沙羅が死に
無謀な世界
世界。台無しの
手おくれの
穢した。恥辱
殺した。凌辱
沙羅を
惨劇。わたしが
悲惨。あなたの
沙羅。これが
いま、目舞わせ
綺羅。虹彩を
叫喚に見て
その風景を
その情熱ごと
裂く。やぶる。ちぎる
くだく。ねじる。なぶる
その精神を
いま、見い出して
つぶす。わたしが
だいなしだから
なに?最期
眸。無慈悲だけを
汗。肉を
もう
屠殺。あなたの
さらけだして
なに?壊滅
手遅れだから
沙羅。これが
その絶望を
謂く、そこに。口蓋がわななく
いま、見い出して
眸。無慈悲だけを
さらけだして
その絶望を
いま、見い出して
殺す。わたしが
だいなしだから
なに?死
床の上。陽炎を
顎。頸を
もう
死。あなたの
押し倒されて
死。なに?
手遅れだから
沙羅。これが
須臾の白目を
謂く、噎せ返っていたのだった。歯頚に、口蓋が、
いま、見い出して
床の上。陽炎を
押し倒されて
須臾の白目を
その馬のりに
部屋にあふれた
沙羅。そのすべてが
たわむれに
殺戮。たわむれの
沙羅。これが
激昂する
跳ねる。肉
壁にぶつかり
部屋を穢した
沙羅。その精神が
たわむれに
殺し合い。たわむれの
沙羅。これが
怒る
ゆれる。肉
つまづきに
部屋に匂った
沙羅。その意識が
たわむれに
破壊。たわむれの
沙羅。これが
たぶらかす
わななく。肉
逃げまどいに
部屋に籠った
沙羅。その心が
たわむれに
戦闘。たわむれの
沙羅。これが
おどける
わらう。肉
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