アラン・ダグラス・D、裸婦 ...for Allan Douglas Davidson;流波 rūpa -71 //ひらかれた。いま/扉は、沙羅。いま/目のまえ。ふいに/沙羅。返り見た//09
以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。
また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。
知った。沙羅。知れ
轟音。ふいに
ひとびとの口に
その翳りの群れに
罵声。歓声と
そしてあざけり
しかも忿怒と
歓喜。歎き
罵声。歓声と
歯
見て。沙羅
喉
そしてあざけり
口
他人たち。激怒
唾液
しかも忿怒と
口蓋
見て。沙羅
さらされた
歓喜。歎き
知った。沙羅。知れ
狂乱。すでに
ひとびとの目に
その情熱の濁りに
殺意。嗜虐と
そしてあわれみ
しかも憤懣と
あるいはむしろかなしみ
傷みの波は
足元に散って
激怒の熱が
気流を乱した
怒号。呼び声と
瞳孔。見ひら
見て。沙羅
睫毛。しびれ
そして警戒
しろ目
他人たち。おののき
眉。ゆがみ
しかも羞恥と
まぶた
見て。沙羅
わなないたひと。ひとびと。いぶき
失笑。おののき
だから叫喚
見て、沙羅。海が
昏い情熱が
綺羅らを散らす
濁流に籠る
ひらすらな綺羅に
見て、沙羅。喉が
光りら、氾濫
だから叫喚
かたむいた
見て。沙羅
腕。掻く
見て、沙羅。海が
肩。ぶつかりあい
他人たち。焦燥
静止。ゆびさき
昏い情熱が
頸すじ
見て。沙羅
ねじられたひと。ひとびと。いぶき
綺羅らを散らす
濁流に籠る
のけぞった
見て。沙羅
腰。痙攣の須臾
ひらすらな綺羅に
ふともも。赤斑
他人たち。警戒
足。もたげられた足首
見て、沙羅。喉が
背すじに汗
見て。沙羅
ゆすぶられたひと。ひとびと。いぶき
光りら、氾濫
光りら、横溢
その色彩も
絶望的に
もう
見て、沙羅。喉が
色彩の消滅も
絶望的なまでに
救いようがなかった
ひらすらな綺羅に
翳りさえも
うつくしい
すでに
濁流に籠る
綺羅らを散らす
その翳りも
容赦ない
もう
昏い情熱が
翳り。それらの明滅も
容赦ないまでに
なすすべが
見て、沙羅。海が
ゆらめきさえも
うつくしい
すでに
だから叫喚
だから絶叫
見て、沙羅。空が
つらなる怒号が
光りを落とす
熱情に噎せる
綺羅らの帯びに
見て、沙羅。白目が
雲。波。綺羅ら
絶叫
剝き出し
見て。沙羅
鼻孔。毛
見て、沙羅。空が
砂。顎
他人たち。失笑
眉じり。微動
つらなる怒号が
ひじ
見て。沙羅
引き攣ったひと。ひとびと。だからかれらの
光りを落とす
熱情に噎せる
蹴りあがる
見て。沙羅
頭髪。匂い
綺羅らの帯びに
返り見、踵
他人たち。激怒
汗。くるぶし。汗
見て、沙羅。白目が
傷。脛
見て。沙羅
散らされた
雲。波。綺羅ら
雲。波。まばゆく
その匂いも
残酷に
もう
見て、沙羅。白目が
香りも、臭気も
残酷なまでに
遁れようがな
綺羅らの帯びに
惡臭さえも
うつくしい
すでに
熱情に噎せる
光りを落とす
そのひびきも
無慈悲に
もう
つらなるノイズが
波の轟音も
無慈悲なまでに
すがりようがなかった
見て、沙羅。空が
沈黙さえも
うつくしい
すでに
だから絶叫
だから充血
見て、沙羅。波が
忿怒だよ。もう
綺羅らを撥ねた
激情だよ。もう
むこう、とおくに
ぶちこわせ。沙羅
靄なす飛沫
だから充血
傷められ
見て。沙羅
動揺
見て、沙羅。波が
声
他人たち。情熱
嫌惡
忿怒だよ。もう
叫び
見て。沙羅
逃げまどい
綺羅らを撥ねた
激情だよ。もう
ねじれ
見て。沙羅
いぶき
むこう、とおくに
肉体。肉
他人たち。狂態
呼吸。呼吸を。呼吸
ぶちこわせ。沙羅
軋む。骨格
見て。沙羅
力みあげひと。ひとびと。いぶき
靄なす飛沫
霧れあう飛沫
直視の昏みも
いたましい
もう
ぶちのめせ。沙羅
視界の傷みも
いたましいまでに
救われようがなかった
むこう、とおくに
温度の苛烈も
いたましい
すでに
激情だよ。もう
綺羅らを撥ねた
そのすべて
凄惨に
もう
忿怒だよ。もう
耳の、目の、鼻の
凄惨なまでに
叫び散らし怒鳴り散らしたようにも
見て、沙羅。波が
感じられたすべてが
いたましい
すでに
だから充血
手遅れ。沙羅。もう
凌辱しろ、いま
怪物を。もう
猶予なく、いま
留保なく、いま
怪物を。もう
破壊しろ、いま
手遅れ。沙羅。もう
手遅れ。沙羅。もう
やぶれそう
吐き気さえ
やっちゃえば?
凌辱しろ、いま
胃が唐突な日影でいきなりへしお
ほら
ね?
怪物を。もう
ひん曲がりそう
吐き気さえしそうな
ね、ね、ね?
猶予なく、いま
留保なく、いま
ね、ね、ね?
窒息さえしそうな
つぶれそう
怪物を。もう
ね?
ほら
はじ。はっ。…じけそう
破壊しろ、いま
やっちゃえば?
窒息さえ
ねじくれそう
手遅れ。沙羅。もう
残酷を、くれるよ
沙羅。いま
ここに、だれもが
あなたにだけ、いま
悲惨を、くれるよ
沙羅。いま
ここに、だれもが
あなたにだけ、いま
凄惨を、くれるよ
沙羅。いま
ここに、だれもが
あなたにだけ、いま
屈辱を、くれるよ
沙羅。いま
ここに、だれもが
あなたにだけ、いま
残酷を、くれるよ
かがやかしい
見つめられないくらい
海は
悲惨を、くれるよ
空。正視に堪えない
沙羅。もはや
海。すさまじく
凄惨を、くれるよ
空は
見あげられないほどに
綺羅めきに
屈辱を、くれるよ
容赦なく、くれるよ
かいま見た。沙羅。見て
その奔流
その洪水
沙羅。あざやかな
褐色の肌。頸
その翳り。肩に
むこうに、沙羅、ほら
色彩があふれた
空。青。海。綺羅
砂。しろ。雲。なに?
なづけようもない
色彩が見えた
光り。乱反射。綺羅
消えた。光りら
色彩が失せた
綺羅ら、綺羅きら
光りの極みに
綺羅ら、綺羅きら
まぼろしと消えた
綺羅ら、綺羅きら
燃えひろがり
夢のように
昏んでいった
光りの極みに
光暈が
あり得ない
わたしたちは
綺羅ら、綺羅きら
燃えひろがり
夢のように
まさに
消えたまぼろしに
いろたちの夢に
いろなすまぼろし
それらの死。いま
弔っておこうか
埋葬しようか
うまれうまれて
うまれるにも似
未生のままに
死んだいろ。色ら
ほろびほろびて
ほろびたにも似
不滅のままに
埋葬しようか
なにも
ささぐべき
なぜ?
未生のままに
もう
言葉もないまま
わたしは
死んだ色ら
なにも
花もないまま
焦燥していた
不滅のままに
たぶん、沙羅、いま
だれかのあしに
波の泡だち
しろく散ったよ
たぶん、沙羅、いま
無数の砂に
波の帯びたち
にじんでいったよ
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