キスでも?唐突な/きみがふいに/失語。頽廃に/咬まれないように……詩





以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。

また、たとえ作品を構成する文章として暴力的・破壊的な表現があったとしても、そのような行為を容認ましてや称揚する意図など一切ないことを、ここにお断りしておきます。またもしそうした一部表現によってわずかにでも傷つけてしまったなら、お詫び申し下げる以外にありません。ただ、ここで試みるのはあくまでもそうした行為、事象のあり得べき可能性自体を破壊しようとするものです。





   キスでも?唐突な

   きみがふいに

   失語。頽廃に

   咬まれないように

謂く、

   キスでも?唐突な

      おそろしいほど

    ささやきかけ、ふいに

     幸福を

   きみがふいに

      残酷なほど

    なぜ?まばたき

     そしてわたしは

   失語。頽廃に

      ありえないほど

    なに?

     笑みかけるすべが

   咬まれないように


   憂鬱を見つけた

   空。赤裸々

   晴れ、晴れわたり

   晴れ、晴れきった


   悲鳴を聞いた

   空。無造作

   綺羅ら、綺羅めき

   綺羅ら、湧くかに


   キスでも?唐突な

      さわがしいほど

    ひかりまきあがり

     沈黙を

   あなたがふいに

      めざましいほど

    あふれだし

     そしてわたしは

   絶句。傷みに

      いたたまれないほど

    ひかり

     なしとげるすべが

   咬まれないように


   孤立を見つけた

   けもの。饒舌に

   しゃべり、語りだし

   しゃべり、語り散らし


   悲鳴を聞いた

   喉。須臾。無言

   綺羅ら、綺羅めき

   綺羅ら、湧くかに


   キスでも?唐突な

      あばかれきった

    青。しろ。みどり

     色彩を

   あなたがふいに

      あきらかすぎた

    色彩

     そしてわたしは

   翳る。雲影に

      あざやかだった

    黄、赤。むらさき

     名づけるすべが

   見上げれば光暈

蝶。蝶たち。きょう。きょうの蝶たち、せめても燃え、燃えあがり、燃え、燃えひろがり、燃え、燃えゆらぎつづける色彩を、羽根。はばたき。わななき、ゆらぎ、ゆらめくそのささいな四維に、見せていただけないものなのでしょうか?

   かがやかしい

   ひかりたち。ほら

   湧き上がる。ほら

   空に、ひかりたち

謂く、

   かがやかしい

      蝶。蝶たち

    さらした

     見ない

   ひかりたち

      ぼくのうしろに

    狂暴なまでの

     きみも

   湧きあがり

      耳のななめに

    色彩を

     そのはばたきを

   空に突きあげ

舌も、歯も、喉も、声帯も、まどわないのだ。夜に、昏みには。名づけえないから。赤裸々なまなざしにだけ、舌も、歯も、喉も、声帯も、まどいつづけたのだ。絶望的なまでに、名づけえないから。

   空をつき射し

      すべって行ったよ

    色彩を

     そのはばたきを

   湧きあがり

      きみのかたわらに

    絶叫に似ていた、それ

     ぼくも

   ひかりたち

      蝶。蝶たち

    ささやかな

     見ない

   かがやかしい

謂く、

   空に、ひかりたち

   湧き上がる。ほら

   ひかりたち。ほら

   かがやかしい

見せていただけないものなのでしょうか?ゆらめくそのささいな四維に、ゆらぎ、わななき、はばたき。羽根。燃えゆらぎつづける色彩を、燃え、燃えひろがり、燃え、燃えあがり、せめても燃え、きょうの蝶たち、きょう。蝶たち。蝶。


2022.07.12.











Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

0コメント

  • 1000 / 1000