流波 rūpa ……詩と小説028・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十偈の伽多//沙羅。死ななかった/だれも/すでに/もはや


沙羅。死ななかった

だれも

すでに

もはや


華麗なくらい

死んだふりをした

みんな

生き生きと上手に


聲なす鳥

鳴る羽搏き

響くのは

頭上に


聲なす葉

枝ら、花ら

響くのは

頭上に


終わったよ。だから

もう、沙羅

ほら燃える色ら

原野


まばたいた

目のない沙羅は

口のない沙羅は

息をはく


原野

ほら燃える色ら

もう、沙羅

終わったよ。だから


頭上に

響くのは

枝ら、花ら

聲なす葉


生き生きと上手に

みんな

死んだふりした

華麗なくらい


もはや

すでに

だれも

沙羅。死ななかった



〇1

ほら、いま

みんな

ふれあって


ほら、みんな

いま

くらいあって


ほら、いま

みんな

ささやきあって


ほら、いま

みんな

みつめあって


ほら、いま

みんな

かぎあって


ほら、いま

みんな

ききあって


ぼくらはみんな

みんなはぼくら

なんのちがいも



〇2

原野

その

造化の原野に


原野

その

イノチの原野に


造花の群れ

造花の擬態

擬態の群れ



●二聲の伽多

沙羅。死ななかった

 ほら、いま

だれも

 みんな

すでに

 ふれあって

もはや


華麗なくらい

 ほら、みんな

死んだふりをした

 いま

みんな

 くらいあって

生き生きと上手に


聲なす鳥

 ほら、みんな

鳴る羽搏き

 いま

響くのは

 ささやきあって

頭上に


聲なす葉

 ほら、いま

枝ら、花ら

 みんな

響くのは

 みつめあって

頭上に


終わったよ。だから

 ほら、いま

もう、沙羅

 みんな

ほら燃える色ら

 かぎあって

原野


まばたいた

 ほら、いま

目のない沙羅は

 ぼくら

口のない沙羅は

 ききあって

息をはく


原野

 ぼくらはみんな

ほら燃える色ら

 みんなはぼくら

もう、沙羅

 なんのちがいも

終わったよ。だから


頭上に

 なんらちがいは

響くのは

 みんなはぼくら

枝ら、花ら

 ぼくらはみんな

聲なす葉


生き生きと上手に

 ききあって

みんな

 いま

死んだふりした

 ほら、みんな

華麗なくらい


もはや

 かぎあって

すでに

 みんな

だれも

 ほら、いま

沙羅。死ななかった



●四聲の伽多

沙羅。死ななかった

   原野

 ほら、いま

  造化の原野に

だれも

   その

 みんな

  その

すでに

   造化の原野に

 ふれあって

  原野

もはや


華麗なくらい

   原野

 ほら、みんな

  イノチの原野に

死んだふりをした

   その

 いま

  その

みんな

   イノチの原野に

 くらいあって

  原野

生き生きと上手に


聲なす鳥

   造花の群れ

 ほら、みんな

  擬態の群れ

鳴る羽搏き

   造花の擬態

 いま

  擬態の造花

響くのは

   群れなす擬態

 ささやきあって

  造花の群れ

頭上に


聲なす葉

   イノチの原野に

 ほら、いま

  原野

枝ら、花ら

   その

 みんな

  それら

響くのは

   原野に

 みつめあって

  イノチの原野

頭上に


終わったよ。だから

   造化の原野に

 ほら、いま

  原野

もう、沙羅

   それら

 みんな

  それら

ほら燃える色ら

   原野に

 かぎあって

  造花の原野

原野


まばたいた

   原野に

 ほら、いま

  イノチなす原野

目のない沙羅は

   その

 ぼくら

  この

口のない沙羅は

   イノチの原野に

 ききあって

  原野

息をはく


原野

   造花らの群れ

 ぼくらはみんな

  擬態の群れら

ほら燃える色ら

   擬態の造化

 みんなはぼくら

  造化の擬態

もう、沙羅

   群れた造花ら

 なんのちがいも

  擬態の群れら

終わったよ。だから


頭上に

   イノチの原野

 なんらちがいは

  原野に

響くのは

   この

 みんなはぼくら

  それら

枝ら、花ら

   原野に

 ぼくらはみんな

  イノチの原野に

聲なす葉


生き生きと上手に

   造花の原野

 ききあって

  原野に

みんな

   その

 いま

  この

死んだふりした

   原野

 ほら、みんな

  造化の原野に

華麗なくらい


もはや

   原野に

 かぎあって

  イノチの原野

すでに

   これら

 みんな

  その

だれも

   イノチの原野

 ほら、いま

  原野に

沙羅。死ななかった







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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