流波 rūpa ……詩と小説004・二十九の詩と散文による流波 rūpa 伽多


以下、一部に暴力的な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



以下は詩。もしくは、この10月から書いてる長い小説と、11月に書いた中編小説のシノプシス、或はテーマ。

小説の概要は、ベトナム在住のわたしが十六歳/十八歳の少年/少女に出会う。彼/彼女は売春をしている男/女で、その名前も素性も知れない。だから、わたしは彼/彼女を沙羅と名づけた。共通言語はなにもない。そしてわたしにさまざまな記憶が想起される。

般若經・中論・唯識論をベースにしたもの。

詩は、詩本編と、複声部のパーツふたつ、及び二声の詩と四声の詩。



十二偈の伽多


見ていたのは、沙羅

何?沙羅

その綺羅

眼差しに綺羅ら


昏む。目が

眩み、光り

差す光り、失神

いつか眼に


海と空——空

…の下に


綺羅の群れら

沙羅。それら

綺羅ら

群らがりの綺羅


まばたきの沙羅

狂暴。その二秒

昏い目のまま

ほほ笑んでさえ


けだものの沙羅

笑んだ。その

昏い目で

ほら、沙羅


いま、沙羅

昏い目で

笑んだ。その

けだものの沙羅


ほほ笑んでさえ

昏い目のまま

狂暴。その二秒

まばたきの沙羅


群がりの綺羅

綺羅ら

沙羅。それら

綺羅の群れら


…の下に

空、と海——空

0

いつか眼に

差す光り、失神

眩み、光り

昏む。目が


眼差しに綺羅ら

その綺羅

何?沙羅

見ていたのは、沙羅


〇1

聞こえた?

ほら

響き、いくつもの


聞こえた?

ほら

響き、かすかに


散った

飛沫

飛び散った


ふるえ

しずく

わななき


イノチら、横溢

氾濫。それ

量り知れず


イノチら、充溢

なにもなかった

無にも等しく


無にも等しく

なにもなかった

イノチら、充溢


量り知れず

氾濫。それ

イノチら、横溢


わななき

しずく

ふるえ


飛び散った

飛沫

散った


響き、かすかに

ほら

聞こえた?


響き、いくつもの

ほら

聞こえた?


〇2

いま

もう

ふれた?


いま

もう

かんじた?


暴流

すべては

瀑布


焰のように

みずから

燃え


なにも焼かれは

なにも

なにものも


燃えあがりさえ

なにも

なにものも


なにものも

なにも

燃えあがりさえ


なにものも

なにも

なにも焼かれは


燃え

みずから

焰のように


瀑布

すべては

暴流


かんじた?

もう

いま


ふれた?

もう

いま



●二聲の伽多

見ていたのは、沙羅

 聞こえた?

何?沙羅

 ほら

その綺羅

 響き、沙羅

眼差しに綺羅ら


昏む。目が

 聞こえた?

眩み、光り

 ほら

差す光り、失神

 響き、かすかに

いつか眼に


 散った

海と空——空

 飛沫

…の下に

 飛び散った


綺羅の群れら

 ふるえ

沙羅。それら

 しずく

綺羅ら

 わななき

群らがりの綺羅


まばたきの沙羅

 イノチら、横溢

狂暴。その二秒

 氾濫。それ

昏い目のまま

 量り知れず

ほほ笑んでさえ


けだものの沙羅

 イノチら、充溢

笑んだ。その

 なにもなかった

昏い目で

 無にも等しく

ほら、沙羅


いま、沙羅

 無にも等しく

昏い目で

 なにもなかった

笑んだ。その

 イノチら、充溢

けだものの沙羅


ほほ笑んでさえ

 量り知れず

昏い目のまま

 氾濫。それ

狂暴。その二秒

 イノチら、横溢

まばたきの沙羅


群がりの綺羅

 わななき

綺羅ら

 しずく

沙羅。それら

 ふるえ

綺羅の群れら


 飛び散った

…の下に

 飛沫

空、と海——空

 散った


いつか眼に

 響き、かすかに

差す光り、失神

 ほら

眩み、光り

 聞こえた?

昏む。目が


眼差しに綺羅ら

 響き、沙羅

その綺羅

 ほら

何?沙羅

 聞こえた?

見ていたのは、沙羅



●四聲の伽多

見ていたのは、沙羅

   いま

 聞こえた?

  ふれた?

何?沙羅

   もう

 ほら

  もう

その綺羅

   ふれた?

 響き、沙羅

  いま

眼差しに綺羅ら


昏む。目が

   いま

 聞こえた?

  感じた?

眩み、光り

   もう

 ほら

  もう

差す光り、失神

   かんじた?

 響き、かすかに

  いま

いつか眼に


   暴流

 散った

  瀑布

海と空——空

   すべては

 飛沫

  すべては

…の下に

   瀑布

 飛び散った

  暴流


綺羅の群れら

   焰のように

 ふるえ

  燃え

沙羅。それら

   みずから

 しずく

  みずから

綺羅ら

   燃え

 わななき

  焰のように

群らがりの綺羅


まばたきの沙羅

   なにも燒かれは

 イノチら、横溢

  なにものも

狂暴。その二秒

   なにもかも

 氾濫。それ

  なにもかも

昏い目のまま

   なにものも

 量り知れず

  なにも燒かれは

ほほ笑んでさえ


けだものの沙羅

   燃えあがりさえ

 イノチら、充溢

  なにものも

笑んだ。その

   なにも

 なにもなかった

  なにも

昏い目で

   なにものも

 無にも等しく

  燃えあがりさえ

ほら、沙羅


いま、沙羅

   なにものも

 無にも等しく

  燃えあがりさえ

昏い目で

   なにも

 なにもなかった

  なにも

笑んだ。その

   燃えあがりさえ

 イノチら、充溢

  なにものも

けだものの沙羅


ほほ笑んでさえ

   なにものも

 量り知れず

  なにも燒かれは

昏い目のまま

   なにもかも

 氾濫。それ

  なにもかも

狂暴。その二秒

   なにも燒かれは

 イノチら、横溢

  なにものも

まばたきの沙羅


群がりの綺羅

   燃え

 わななき

  焰のように

綺羅ら

   みずから

 しずく

  みずから

沙羅。それら

   焰のように

 ふるえ

  燃え

綺羅の群れら


   瀑布

 飛び散った

  暴流

…の下に

   すべては

 飛沫

  すべては

空、と海——空

   暴流

 散った

  瀑布


いつか眼に

   感じた?

 響き、かすかに

  いま

差す光り、失神

   もう

 ほら

  もう

眩み、光り

   いま

 聞こえた?

  感じた?

昏む。目が


眼差しに綺羅ら

   ふれた?

 響き、沙羅

  いま

その綺羅

   もう

 ほら

  もう

何?沙羅

   いま

 聞こえた?

  ふれた?

見ていたのは、沙羅







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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