金剛般若波羅蜜經 (鳩摩羅什)——ダイヤモンドに如く智慧、…彼方なる叡智を說くスートラ。原文、書き下し文。1


漢文原文は據大正大藏インターネット版

書き下し文及訓は據國譯大藏經經部第三卷國民文庫刊行會發行

奧書云、

大正七年四月廿八日印刷同月三十日發行

大正八年一月廿八日再版發行

昭和二年五月廿五日三版發行

昭和十年十二月廿八日四版發行

譯者山上曹源識の署名あり。

但し一部の文章を改めた。訓は底本儘。


金剛般若波羅蜜經

  姚秦三藏法師鳩摩羅什譯

目錄

法會因由分第一

善現起[啓]請分第二

大乘正宗分第三

妙行無住分第四

如理實見分第五

正信希有分第六

無得無說分第七

依法出生分第八

一相無相分第九

莊嚴淨土分第十

無爲福勝分第十一

尊重正敎分第十二

如法受持分第十三

離相寂滅分第十四

持經功德分第十五

能淨業障分第十六

究竟無我分第十七

一體同觀分第十八

法界通化分第十九

離色離相分第二十

非說所說分第二十一

無法可得分第二十二

淨心行善分第二十三

福智無比分第二十四

化無所化分第二十五

法身非相分第二十六

無斷無滅分第二十七

不受不貪分第二十八

威儀寂靜分第二十九

一合理相分第三十

知見不生分第三十一

應化非眞分第三十二


金剛般若波羅蜜經[Vajracchedikā-prajñāpāramitā Sūtra]

  姚秦‘天竺三藏鳩摩羅什譯〔‘天竺三藏四字宮本作三藏法師四字

〇1

法會因由分第一[大藏經左題字无、下同

如是我聞一時佛在舍衛國祇樹給孤獨園與大比丘衆千二百五十人俱

爾時世尊食時著衣持鉢入舍衞大城乞食

於其城中次第乞已還至本處

飯食訖收衣鉢洗足已敷座而坐

法會〔ほふゑ〕因由〔いんいう〕分第一

かくに聞きゝ。

一時、佛、舍衛〔しやゑ〕國祇樹給孤獨園〔五字ぎじゆぎつこどくをん〕にありき。

大比丘衆千二百五十人と俱〔とも〕なり。

その時、世尊、食時〔じきじ〕に衣〔え〕著[着]、鉢を持し舍衛大城に入り乞食せり。

その城が中に次第に乞ひ已〔をは〕り本處〔ほんしよ〕に還り至り飯を食し訖〔をは〕り衣鉢を収め洗足し已り座を敷きて坐しき。

〇2

善現起[啓]請分第二

時長老‘須菩提在大衆中即從座起偏袒右肩右膝著地合掌恭敬[‘須菩提、Subhūti

而白佛言

「希有世尊如來善護念諸菩薩善付囑諸菩薩

 世尊善男子善女人發阿耨多羅三藐三菩提心

 ‘應云何住云何降伏其心〔‘應云何三字明本作云何應

佛言

「善哉善哉須菩提

 如汝所說如來善護念諸菩薩善付囑諸菩薩

 汝今諦聽當為汝說

 善男子善女人發阿耨多羅三藐三菩提心應如是住如是降伏其心

「唯然世尊願樂欲聞

善現〔ぜんげん〕起[啓]請〔きしやう〕分第二

時に長老須菩提〔三字しゆぼだい〕大衆が中にありいき。

即ち座より起〔た〕ち偏〔ひとへ〕に右肩を袒〔はだぬ[脱]〕ぎ、右膝を地に著〔つ〕け合掌し恭敬〔くぎやう〕し白して佛に言さく

「希有なる世尊よ。

 如來は善く諸の菩薩を護念[保護]し善く諸の菩薩に付囑[付き添ふ]せり。

 世尊よ。

 善男子、善女人、阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみやくさんぼだい〕の心を發〔おこ〕さんとしまさに如何に住すべきや。[阿耨多羅三藐三菩提、anuttarasamyaksaṃ bodhi、最上知。覺りの極まり]

 如何にその心を降伏すべきや。

佛言さく

「善き哉。善き哉。

 須菩提。

 汝說けるが如く、如來は善く諸菩薩を護念し善く諸菩薩に付囑せり。

 汝いま諦〔あき[顯]〕らかに聽け。

 まさに汝が爲に說く。

 善男子、善女人、阿耨多羅三藐三菩提の心を發さんとしてまさにかくに住み、まさにかくにその心降伏すべし。

[須菩提答へて言さく]

「唯〔ゐい〕然り。

 世尊。

 樂〔ねが[願]〕ひ願はくば聞かしめよ。

〇3

大乘正宗分第三

佛告須菩提

「諸菩薩摩訶薩應如是降伏其心

 所有一切衆生之類若卵生若胎生若濕生若化生

 若有色若無色若有想若無想若非有想非無想

 我皆令入無餘涅槃而滅度之

 如是滅度無量無數無邊衆生

 實無眾生得滅度者

 何以故須菩提

 若菩薩有我相人相衆生相壽者相即非菩薩。

大乘〔だいじやう〕正宗〔しやうじう〕分第三

佛、須菩提に告げて言さく

「諸の菩薩〔ぼさつ〕摩訶薩〔まかさつ〕、まさにかくにその心降伏すべし。

 あらゆる一切の衆生の類ひら、

 もしくは卵生〔らんしやう〕、

 もしくは胎生〔たいしやう〕、

 もしくは濕生〔しつしやう〕、

 もしくは化生〔けしやう〕、

 もしくは有色〔うしき〕、

 もしく無色〔むしき〕

 もしくは有想〔うさう〕、

 もしくは無想〔むさう〕、

 もしくは非有想〔ひうさう〕非無想〔ひむさう〕

 我みな無餘の涅槃に入れ此れを滅度さす。

 かかる無量・無數〔むしゆ〕・無邊〔むへん〕の衆生を滅度し實には衆生、滅度を得き者はなし。

 何の故に。

 須菩提。

 もし菩薩に我相〔がさう〕、人相、衆生相、壽者相〔じゆしや‐〕あらば即ち此れ菩薩にあたず。

〇4

妙行無住分第四

「復次須菩提菩薩於法應無所住行於布施

 所謂不住色布施不住聲香味觸法布施

 須菩提菩薩應如是布施不住於相

 何以故若菩薩不住相布施其福德不可思量

「須菩提於意云何東方虛空可思量不

「不也世尊

「須菩提南西北方四維上下虛空可思量不

「不也世尊

「須菩提菩薩無住相布施福德亦復如是不可思量

 須菩提菩薩但應如所敎住

妙行〔めうぎやう〕無住〔むぢやう〕分第四

「また次に須菩提。

 菩薩、法にまさに住す所なくて布施すべし。

 いはゆる色に住せず布施し聲〔しやう〕、

 香〔かう〕、

 味〔み〕、

 觸〔そく〕、

 法〔ほふ〕に住せず布施せよ。

 須菩提。

 菩薩まさにかくに布施し相に住せず。

 何の故に。

 もし菩薩、相に住せずして布施せば、その福德まさに思ひ量り得じ。

 須菩提。

 意〔こころ〕に如何ん。

 東方の虛空〔こくう〕は思量し得るや。

「否なり。世尊。

「須菩提。

 南、西、北方、四維〔しゆゐ〕上下の虛空、此れを思量し得るや。

「否なり。世尊。

「須菩提。

 菩薩が相に住せざる布施、福德また復〔ま〕たかくに不可思量なり。

 須菩提。

 菩薩ただまさに敎への如くに住せ。

〇5

如理實見分第五

「須菩提於意云何可以身相見如來不

「不也世尊不可以身相得見如來

 何以故如來所說身相即非身相

佛告須菩提

「凡所有相皆是虛妄若見諸相非相即見如來

如理〔により〕實見〔じつけん〕分第五

「須菩提。

 意に如何ん。

 身相もて如來を見るべきや。

「否なり。世尊。

 身相もて如來を見を得べかざりき。

 何の故に。

 如來の說く身相、此れ即ち身相にあらず。

佛、須菩提に告げて言さく

「すべてあらゆる相、みな此れ虛妄〔こまう〕なり。

 もしもろもろの相、相にあらずと見れば即ち如來を見ん。

〇6

正信希有分第六

須菩提白佛言

「世尊頗有衆生得聞如是言說章句生實信不

佛告須菩提

「莫作是說

 如來滅後後五百歲有持戒修福者於此章句能生信心

 以此爲實當知是人不於一佛二佛三四五佛而種善根

 已於無量千萬佛所種諸善根

 聞是章句乃至一念生淨信者

 須菩提如來悉知悉見是諸衆生得如是無量福德

 何以故是諸衆生無復我相人相衆生相壽者相無法相亦無非法相

 何以故是諸衆生若心取相則爲著我人衆生壽者

 若取法相即著我人衆生壽者

 何以故若取非法相即著我人衆生壽者是故不應取法不應取非法

 以是義故如來常說汝等比丘知我說法如筏喩者法尚應捨何况非法

正信〔しやうしん〕希有〔けう〕分第六

須菩提白して佛に言さく

「世尊。頗[かたより]ある衆生、かかる言說の章句を聞き實信を生ずるや。

佛、告げて須菩提に言さく

「かくに說くなかれ。

 如來の滅せる後、その後の五百歲に、持戒し修福す者あり。

 此の章句によく信心を生ず。

 此れもて實となす。

 まさに知れ、此の人一つの佛、二つの佛、三つ・四つ・五つの佛に善根が種植ゑたるのみならず。

 すでにして無量・千萬の佛所にもろもろの善根を種植ゑき、と。

 この章句聞き、ないし一念たりとて淨らなる信を生じき者ら、…須菩提よ。如來ことごくに知りことごとくに見る。

 この諸の衆生、かかる無量の福德を得き、と。

 何の故に。

 この諸の衆生、また我相、人相、衆生相、壽者相なく、法相なくしてまた非法相もなし。

 何の故に。

 この諸の衆生、もし心に相を取らばすなはち我、人、衆生、壽者に著〔ぢやく[固執]〕す。

 もし法相を取らばすなはち我、人、衆生、壽者に著す。

 何の故に。

 もし非法相を取らばすなはち我、人、衆生、壽者に著す。

 かかりてまさに法をも取るなかれ。

 まさに非法をも取るなかれ。

 この義もての故に如來つねに說きゝ、汝ら比丘ら我が法を說くは筏〔いかだ〕が喩〔たとへ[比喩]〕に如けり。

 法すらまさに捨てよ。

 なにを况んや非法をや。







Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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