修羅ら沙羅さら。——小説。6
以下、一部に暴力的な描写を含みます。
ご了承の上、お読みすすめください。
修羅ら沙羅さら
一篇以二部前半蘭陵王三章後半夷族一章附外雜部
蘭陵王第一
かくに聞きゝ夫レ7月26日そノ日ハ日曜日なりき朝起きてユエン朝食をみヅから作りきユエン壬生と俱なりて食せり後ユエン祖父の家にひとり詣ヅ之レみヅからのスクーターを以てス壬生思ひきユエンひとりそノ家ノ前に彼女のバイクを止めたル時ソを見てレ・ハン氣落ちシて亦甚だシからんとかクてレ・ハンはメッセージをよこさゞりきレ・ヴァン・クアンはそノ家に死にかけテをりタりきタンはにわにバイクで何處かににわに遊び行きゝ彼にわに居間に壬生ヲ見目あヒかけてあはてゝ目をにわにそらし無言もてバイクを出しきコイはにわに如常フルーツと朝食を済ましたる後ににわに息子と共有なる自室ににわに戾りき壬生にわに
そのじゅもくのいくつかのたかいところに
むらがるとりのはねの
そのおとをその儘ソファに横たわり身を横たわへてかくて午前十時に横たはりたる儘スマートホンにインターネットを見て見覩て覩るに日本にCovid19ふたゝびの激しきカーブを描きてふたゝびの榮へを兆しをりき見て壬生思ひき前と同じ曲線を描くに違いない…かくに思ひて前日の新規感染は700人を超えた。約1億2000に膨大な外国人労働者加え、と、かくてかくに思ひて更に膨大な留学生をあわせて、その総計分の700プラス未発見の患者等潜在的可能性を加えた数、と、かくてかくに思ひて…その割合を、多いとみなすべきなのかどうか。俺には、と、かくてかくに思ひてわからない。俺には、と、かくて日本の藤井幸二郎にLineでメッセージを送りき後に彼と通話せりかくて十二を過ぎゝ過ぎて未だユエンは歸って來ざりき庭にタオが叫きたる聲聞きて壬生ひとりなりきかくて頌して曰く
あなたに話そう
直視した眼差しに言った
まさにあなたの爲に話そう
言葉には決して出さない儘に
ユエンは30歳だった
あなたは
5年前に私と結婚した
あなたはわたしと結ばれなければならない
あまりにも自然にわたしを結婚に導いた
その夏
わたしは彼女を愛しただろうか?
五年前に
或はほかの女を愛しただろうか?
十一月
他の女を愛したようには彼女を愛した
この土地の夏
雪菜のようにも
わたしは思った
それは事実だった
かの女の無防備な確信を
そして稚彦のようには愛さなかった
実現して遣る事を
或いはゴック・アインのようにも
むしろ
それも事実だった
何か思っても見なかった僥倖のようにも
ユエンは小柄で眼鏡をかけた
わたしは思った。かの女の
大きな目でそして理知的なふりをした
確信はあるいは
自分でも理知的だと信じていた
狂気じみてさえ見えた。赤裸ゝに
だからあくまで容易かった
かの女の目はわたしを
獸じみた衝動のユエンは理知の人そのものだった
自分の夫としてのみすでに
最初やせぎすで哀れむほどだった
見ていた。その女
一年の度に肉を富ませた
ユエンという名の
男を知ったからなのだろうか
經理担当の瘦せた
理知的なユエンはわたし以外には知らなかった
褐色の女は
その日十二時に歸ってきたユエンはシャッターの隙間から入ってきて、逆光に
海外出店のコンサル
大げさに兩手を広げた
ある個人事業主の、飲食店海外出店
甘えるだけ甘えた聲に私に詫びた
自動車小物販売店の
昼食に遅れ準備もしない不貞の妻の不貞を侘びた
二代目の素人じみたその海外投資に
わたしとユエン自身だけに、戯れようとするかのように
わたしは買われた
容赦もなく
二代目の事業は失敗するに違いなかった
押し広げられた手が私にふれる寸前に
その他多くの事業主と同じくに
ユエンは大げさに歎きの聲を立てた
滅びゆく
ユエンは私を激しく拒絶した
その人種
ふれないで
あきらかに劣化し
指いっぽんわたしにだけは触れないで
滅びゆく多くのその種族の常として
何故?
彼は思っていた
穢れているから
日本は無条件に優れた国なのだと
外のヴィルスの自由な跳躍に、乃至はその
それは無条件に尊敬さるべき國で
好き放題の繁殖に
事実尊敬され
外の人たちの穢い指先のふれたもの
それは無条件に愛さるべき人たちの国で
穢い唇のふれたもの
事実だれにも愛され
穢い息のかかったもの
それは無条件に羨望さるべき國で
それらに知らずに触れた穢れに
後進国は彼等を羨望する
シャワーを浴びる。…と。妻は
わたしたちを、…と、
ベトナム語でそう云った。バスルームに消える前に
彼等はそう思った
英語でもう一度
わたしたちは、あまねく
シャワーを浴びる。…と。妻は
下等な生き物たちの憧れで、そして
そう云った
羨望されている、…と
最後に私に顏を見せて
彼等は
私にだけささやいた。あびますと
滅びながら
あ、び、
劣化し
彼女は
壊滅していきながら
あ。…び、ぃまっ
そう思った
幸せだった
海に囲まれた
彼女は幸せでなければならなかった
かならずしも狹いとも言い切れない
なぜなから彼女は自分が幸せだと知っていたからだった
中途半端な島のつらなりに繁殖して
だから彼女は事実幸せだった。だからわたしは
ユエンは見つめた
ソファに座ってパソコンを見た
わたしだけを
シャワーの音は聞こえなかった
かすめとるように
タオの怒号が壁の向こうにわなないた
音もたてずに
しかりつけるチャンは居なかった
かすめとって自らの
だから彼女は自由だった
口の奧でだけ
体を拭くだけ拭いて、何も着ないユエンが私の膝に
咀嚼するかのように
すわった。無理やりに尻と背中で腕をのかせて
わたしを見つめた
ユエンはすでに知っていた
五年前の夏
ユエンの家にコイは居なかった。すくなくとも今は
サイゴンの乾季に
ユエンの家にタンは居なかった。すくなくとも今は
空気が乾く
だから彼女は自由だった
ひたすらに
理知的な淫らな甘えを私にさらせた
わたしたちの周囲に
彼女は幸せだった
雨に、その息吹きにさえふれない大気は
彼女は幸せでなければならなかった
乾ききった
なぜなから彼女は自分が幸せだと知っていたからだった
かすめとるように
だから
かの女を?
彼女は事実幸せだった。だから
かすめとるように
腕に彼女をあやしながらわたしは思った
わたし自身を?
美貌のタオを
ささやいた。その
庭の方に叫び聲を立てたタオを
耳元に、——
時にはその肉体を
Anh biết
肌に纏う芳香を
em yêu anh 洗練された冴えた香水に砂糖をぶちまけて台無しにしたような、その
生ゝしく息づいた
Anh biết rồi
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