ジュリアン・O、浸蝕。そして青の浸蝕 ...for Julian Onderdonk /a;...for oedipus rex #134



以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



//ここちよい/そう。…ええ/ええ!たしかに/圧倒的に!//

夜。

   ええ、きみが

携帯電話。

   まだ。こころの

波紋が

   そばにいたから

真魚に電話をかけ、

   ええ、きみが

ひとしきり詳細をはなしたあと、

   まだ、まぶたで

…メール。「お願い」

   笑っていたから

メールでは、あらかたの報告は「…いい?」済んでいた。「お母さん、」と、「電話、お母さんと替ってもらっても」波紋の「いいかな?」めずらしい気弱に、庸子は笑んでその「こら、」頬を「ちょっと」つねるしかない。「さ。しっかりしろ。…息子」笑って、茶化し、

   なぜ?

      ざわめき

真魚。無言のまま

   わたしのこころが

      の

見えないむこうで

   もう、したしみを

      気配。ねぇ

かわいそうなくらい緊張しているのが、

   まだ、声を

      たのしいね?

波紋には、なにも

   聞いたこともない、その

      わたしも

手がかりのない無音にすでに明白にすぎた。庸子は、あえておびえる猫をあやす流儀を。せめて逃げられたりしないように「あのう、…」と、しかしいきなり「すみません、わたし」まくしたてる真魚の饒舌にひだりのまぶたを「こんな、」思わず引き上げた。「すっごい、駄目な年増で。顔向けできなくて、ほんと、どうしようもなくて、ほんと、わたし恥ずかしくて、でも」

   なつかしいとさえ

「ほんと、」

   いま。きみに

「でも」

   感じた

「波紋のこと、よろしくおねがいします」その「…ね?」やさしい声に、真魚はやがて、じぶんもそうなるにちがいない母親の、おおきさを見せつけられ気がして、そして、腹に沁み込む親しみを真魚はどうしようもなく悲しく感じた。庸子は、

   いつでも、きみの

      そう。ちょっと

猶も「ほんっ

   きみのためなら

      おとなになったね?

と、」ささやく。「ほんっ

   なにも惜しくは

      だいじょうぶだね?

と親って、ほんとうに莫迦だから。ごめんなさい、だからこんな馬鹿で。でももう、あなたの…マオ、さん?この子はあなたにさしあげるものだと思ってますんで、だから、もう、ほんとうに。うちの子、ほんとに、…ね?」…よろしくお願いします、と。その数音を庸子は、喉に飲み込んで目を

   いいのだ。すべて

      もう。やすらいでも

         長かった?いや

細めた。かならずしも、

   和解しあって

      いいのだ。すべて

         終わったのだ。これで

なにも

   赦されあって

      もう。安堵しても

         いいのだ。すべて

見取れはしないままに。

   ここちよい ;contrapunctus à 4;01

    どう?

   そう。…ええ

    どうですか?あなたが

   ええ!たしかに

    風景は?見ていた、

   圧倒的に!


   ね。だから

    なぜ?わたしは

     狂いそう

   あなたのために

    喉から鉛を

     なぜ?この

   生きてもいいよ

    吐きそうなの

     すがすがしい日に

   あなたのそばで


   たぶん。わたしたちは

    だっ。だっ

     と、しかも同時の

   思った以上に

    あっ!だっ

     諦めの実感

   したしいのだろう


   ね?


と、そしてやや鬱の。かつ鬱のままのはなやぎをきみは ;responsorium à 4

   そうだ

    どう?


   鬱の。これら

    やや、しかも

     ね!ね!ひとり

   あざけりあうしか

    鬱。華やかな、…つまりは

     わたしだけひとりで

   取り柄のなかっ

    残酷な鬱の…った

     ざわめいてるね?

   花々を


   お!

    棘を

   お!


飲み込んだんだね?


   ここちよい ;contrapunctus

    どう?

   そう。…ええ

    どうですか?あなたが

   ええ!どうしようもなく

    ひびきあう音響が聞こえた空間は?

   鮮烈に!


   ね。だから

    なぜ?わたしは

     叫びそう

   そう!あなたのために

    鼻から硫黄を

     なぜ?この

   生きてもいいよ

    垂らしそうなの

     すこやかな日に

   あなたのそばで


   たぶん。わたしたちは

    だっ。だっ

     と、しかも同時の

   思った以上に

    あっ!だっ

     放棄への承認

   したしいのだろう


   ね?


と、…ええ。そして。やや鬱。鬱の。かつ…鬱?の、ままのはなやぎをきみは ;responsorium

   そうだ

    と、ほほ笑みの残骸


   鬱の。これら

    やや、しかも

     ね!ね!ひとり

   なじりあうしか

    華やかな鬱。つまりは

     わたしだけひとりで

   生き方を知りはしなかっ

    凄惨な…った。鬱の

     さわいでいるね?

   花々を


   お!

    爪を

   お!


飲み込んだんだね?


   ここちよい ;contrapunctus

    どう?

   そう。…ええ

    どうですか?あなたが

   ええ!なんら留保なく

    感じた触角的諸感触のむれは?

   強烈なまでに!


   ね。…え?だから

    なぜ?わたしは

     泣き出しそう

   そう!あなたのた…え?

    耳から焔を

     なぜ?この

   生きてもいいよ

    ひらめかせそうなの

     祝福の日に、この

   あなたのそばで


   たぶん。わたしたちは

    だっ。だっ

     と、しかも同時の

   思った以上に

    あっ!だっ

     歓喜の爆発

   したしいのだろう


   ね?


と、そしてやや鬱の。かつ鬱のままのはなやぎをあえて?きみは ;responsorium

   そう

    どう?耳に音響のかすかな散乱

   鬱の。これら

    やや、しかも

     ね!ね!ひとり

   傷めあうしか

    鬱。華やかな、つまりは。…鬱

     わたしだけひとりで

   てだてがなかっ…他に、った

    いやらしい鬱の

     みだ…ぐっちゃぐっちゃだね?れ、

   花々を


   お!

    牙を

   お!


飲み込んだんだね?


   と、そう ;canon à 4

    どう?

     感覚的で不可解な孤立感かつ

   そう


   ひろがってゆく

   気づかないうちに

   ほぐされてゆく

   せめてものふれあい


さえも、すらも。なにもない ;recitativo


   触感。かがやきの

    ひろがってゆく

   触感。わたしには

    ほぐされてゆく

   見えていたよ。もう

    ふれあってゆく

   だって、かがやきが


あきらかに ;recitativo


   つつんでいた。もう

    触感。の、

     ひろがってゆく

   野放図な、それら

    ように。あけすけな

     ほぐされてゆく

   かがやきが。この、もう

    肌ざわりのように

     ふれあってゆく

   わたしをさえも


わたしにさえ、も ;recitativo

   ほら!

わたしにすら、も


   気づかれなかった

      わたしたちは、こんな

    つつんでいた。もはや

     きみにも、ひそかに

   と、そんな慎重さで

      こんなにも

    野放図なばかりの

     伝わったかな?まだ

   巧妙さで、ええ。また

      こんっ…赤裸々に

    したしみの感覚。だから、もう

     不安も、傷みも

   俊敏な、稀にみるあざやかさで


   と、そう

      ひろがってゆく

    わたしもなにも

     なにも知らない

   あったこともないひとびとの

      感触?…の、ように

    不安も、傷みも

     きみは。ちいさく

   息吹きさえも

      ふれあってゆく

    感じなくていいね?

     伸ばした足で

   したしく感じられた不用意な


これら、…なに?いわば ;recitativo

   無数の?

懊悩のなかで











Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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