カミーユ・C、留保なき絶望とその絶望的なまでの強度 ...for Jean-Baptiste Camille Corot /a;...for oedipus rex #115



以下、一部に暴力的あるいは露骨な描写を含みます。ご了承の上、お読みすすめください。



(承前)

シーレーノスの

   いっ

      いっ

行進。部屋をのぞいた

   いいえ!

正面に、飾られた巨大な

   いっ

      いっ

ルーベンス。元代々木か

   いいえ!あえて

から「これは、

   いっ

      いっ

さ」真魚。彼が母親に言われるまま持ち出した唯一の「おまえには、」絵。「わからないかもしれな…ね?い、んだけど」

   ごめんね?…わた

      え?

         陰鬱な

「好きじゃない。わたし」

   し。…ね?なにも

      だいじょうぶだよ

         やや

「価値、あるんだよ。これ、戦争で焼けちゃって、」

   思えば、さ。なにも

      わたしたち、さ

         なぜ?そんな

「でも」

   してあげら

      家族だよ

         陰鬱な

「まぼろしの絵画。知ってるひとは知ってる、」

   られな、な

      いまも。で、

         やや

「贋作でしょ?」と、

   ら、

      やっぱ、ね?これから

         顔を?…な

記憶。波紋はその、武骨なみにくい老いぼれががうつむき、隅に追われてゆく

   ように

にぶい

   ように、見え

色彩の

   ように

正面で思わずわらっ

   赤裸々なわれわれを!

      あっ

た。そのとき、あどけない

   無防備なわれわれを!

      直射。ためらいがちな

感情に、あどけない

   え?

      泣いたりしな…ほら。いよ

         そう。まるで

感覚のまま、だからついにどうしようもなく

   え?

      叫んだりしな…どうだ?いよ

         ぼくらは追い詰めら

あどけなく。体臭。出生にまつわる事実をはからずも知って仕舞ったとき、…なにが?「いったい、なにが問題なの」

   崩壊は。われわ

「だって」

「ただ、おれたちは愛しあっ」

   われわれにもいと

「だっ…真魚は、さ。だってわたしのお父さんだったんだよ?」

「あっ、あっただけ」…事実は、

   あっ

      なんですか?

だからこの事実はなにかの

   いともたやす

      く、…うっ

結果でさえな「…じゃない?」で、さいないと、

   あっ

      なんですか?この

…思った。これは、と。より添いあっ

   あっ

あって添い寝する春雨のアトリエ。あの2階の部屋のベッドのうえでこれは、…と。わたしの体臭でもあるのだろうか?この、

   そっと。まるで

      肌。そう、

馴れていながら

   子犬のように

      肌は。この、…だれの?

妙に狎れあわず、

   わらってみようか

      うぶ毛は、この

きわだちつづける至近の

   そっと。まるで

      こっ…だれの?

なに?至近に

   蝶々のように

      体液は。この

眠る男の

   わらってみ、いっ

      汗?この…だれの?

肌の…芳香?

   そっと。まるで

      息吹きは。こっ

に。沖津弘樹。かつて、じぶんをことさらに愛した男。やや眉に、不遜ないらだちを隠さない繊細で、突発的にはやや暴力的な、しかも基本的には他人にやさしくしかできない

   なぜ?

      莫迦にしないで!

         いい

男。棄てられた女にさえ、

   いつも。なぜか

      わたっ

         よ。ひっぱたいても

執着するでなくしかも

   やや

      と、謂うかちがうから

         おれを

執拗なまでに、

   ななめに立って

      ね?そんなんじゃな

         いいんだ

やさしくしつづけるかたちにしかその生存様態を

   そう。おれは、さ

      ゆらぐ。猶も

持ち得ない。

   そ。愛の人なの

      きみの前髪の

言った。

   で、あろう、と

      ゆらぎを。そう

弘樹は、

   さ。…そう決めたひっ

      まなざしの端に

…なんで、と。だから

   決めちゃったひと

      ゆ

真魚の存在を打ち明けられた…あんっ、早朝。「あんなオヤジと?」失笑。その「おれ、」弘樹は。「おまえのためなら死ねるんだから、」結婚とともに、…ね?弘樹は波紋のまえから姿を、または歌舞伎町からも行方をくら

   ら、するん

      こころに。そう、そっと

         ら。くらく

くらま

   ら、くらするん

      懊悩を。終わりなき

         ららっ

くらました。やがて

   ん?

      んっ

ふいうちの

   ん?

      あっ

再会。

   ことばをうしなっ

…が、はからずもはたされたのは2年後、

   うしなっ

個展。ひさしぶりに

   と。その絶句

東京で開かれた2011年の「あれ?」

   忘れた?

      ええ。唐突な

         知ってるんだ。いま

春雨の。「おまえ、らっ。…えら、

   忘れらんない?

      哄笑。湧きあがる

         知っ、あなたが

…なに?すっごい」

   まじ?

      失笑。飛び散る

         知っていた、それら

美術・骨董の「めずらしいひとに、」

   うそ?

      うす笑い。吹き荒れる

         すべてを。もう

と、

   莫迦

      感情的空白

         ね?わたしも。…つまりは

微笑。「きょうのおれは、

   肉体。もはや

逢うんだね?」ブローカーとしてだっ

   なんら秘密のない

だった。春雨とおなじく、真魚と、またその母親ともおなじく春雨の死ののち、春雨。その大量のタブローを元代々木に

   かなしいんっ

      肉体。もはや

運び入れる手伝いに

   かなっ

      なんら秘密のない

贋作を見て見あげた弘樹をも蔦川葛の絵筆は

   知っ

魅了した。シーレーノス。みにくい絵。ふさわしいよ、と。おれらに。弘樹。「まさに、なんか、おれらのためにある気さえする絵だよね?これは。絵画的な高貴さ(…好奇さ、と?)もふくめて、

   いいえ

      知れ!

ね?これは、」と、正確には「こるぇ」、…失語。

   閃光!

      きみはおれの

不用意な、

   いいえ、なまぬるい

      絶望を…なに?

突然の

   微光

      知れ!

それ。痰が、あるいはいきなりの巨大化に喉をふさぎおおせたかの。波紋。しかしなんら、猶も贋作に思い入れも共感も

   はっ

抱けない。

   波紋。…はっ

見苦しい。

   はっ

深雪さえもほしがったのだっ

   なぜだ?

った。彼女は筋肉以外取り柄の無い無能ではない。結局は肉体つながりだったかも知れないが、システィナで見たミケランジェロへの興奮を、いつか波紋に語って聞かせるくらいには美意識があっ

   なぜだ?

      あっ

た。その彼にも

   もっと!もっと!

      あっ

         落ちてゆく

贋作は

   はれやかな息吹きを

      色彩。これらは

愛された。拒絶したのは

   もっと!もっと!

      あっ

         沈んでゆく

波紋だけだった。まるで

   すこやかな…ん?風景を

      あっ

         形態。これらは

たくらんだかにやさしい深雪。うつくしい男の肉体に、うつくしい男たちを称賛してやまない、かつやや冷淡さがあるまなざし。












Lê Ma 小説、批評、音楽、アート

ベトナム在住の覆面アマチュア作家《Lê Ma》による小説と批評、 音楽およびアートに関するエッセイ、そして、時に哲学的考察。… 好きな人たちは、ブライアン・ファーニホウ、モートン・フェルドマン、 J-L ゴダール、《裁かるるジャンヌ》、ジョン・ケージ、 ドゥルーズ、フーコー、ヤニス・クセナキスなど。 Web小説のサイトです。 純文学系・恋愛小説・実験的小説・詩、または詩と小説の融合…

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