《濱松中納言物語》原文・現代語訳

平安時代の夢と転生の物語
三島由紀夫《豊饒の海》の原案

下記リンクに、順番に並んでいます。

かなり時間がかかる作業ですので、ゆっくりアップしていきます。

気長に、お付き合いくださいませ。…


Seno-Le Ma

巻乃壱(第二巻・首巻欠)

~稀人の、異郷なる唐土にての物語



稀なる貴人の、夢と恋と転生の物語



執拗なほどに

わたしのからだに こうも 最早、染み付いて仕舞ったことさえも

ただ、侘しいばかりのことなのに

どうして留まりつづけるのだ

報われもしない 恋の名残り香よ


《なかなかに我が身にしむもわびしきに何とゞまれるにほひなるなむ》



絶世の美貌の男、中納言の君、転生なされた御父君を求めて、異国大陸の唐に渡る

やがてその美しき転生の子の母と、道ならぬ恋に堕ちるのだが…



巻乃弐

~ご帰還なさられた故国に見られた、その悲しみの風景



稀なる貴人の、夢と恋と転生の物語



…あはれ、

いづれの転生のその生のうちにか

ふたたびふたり廻り合って

在りし日の澄み渡りきった同じ月を

ながめて添いましょう


《あはれいかにいづれの世にか廻り逢ひてありし有明の月をながめむ》



遠い海の向こうの異郷、唐土の御帝のそのご寵愛やまない御后との間に、生ませて仕舞った運命の御子

故国に還られた御君は、御みずからの乳母にたくされてみるのだが…



巻乃三
~新たな宿命に導かれて、廻り逢う吉野の奥山の秘められた姫君



稀なる貴人の、夢と恋と転生の物語



日は明け暮れを繰り返し

ふたたび山に堕ち果てる

今日の陽の暮れの翳りにも

それでも心は添うていることを

別れた人よ

陽を弔った鐘の声にもこの想いを知れ


《明暮も山のかげには別れぬをいりあひの鐘のこゑにこそ知れ》



唐土の帝の后との許されざる絆に導かれるがままに、たどられる運命の数奇。

后に命じられるがままに、その生き別れの母親と妹を吉野の奥山に探すのだが、その女たちに秘められた物語とは…